サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

国会前の「共謀罪反対!」デモを生で見てきた感想

共謀罪の成立と数の暴力  

  6/14。今日も得意先を周って企業LANのメンテナンスに勤しんだ後、報告書作成のため自社に戻った時。僕の携帯に与党が共謀罪を成立させるため強引な手を打ったとのニュースが入った。この共謀罪については与党、野党ともに成立と廃案をめぐって毎日激しく争っているが、ここでついに「数の暴力」という現政権の本性を見せたということになる。毎日出勤、帰宅の往復で更新されていく僕の平凡な日常がある町から、20数キロ先にある国会議事堂の前には法案に反対する人達が集って毎日、大声で反対と声を荒らげているという。そこで僕は僕の平凡の拠点からさほど距離が離れていない場所でいったい何が起きているか知りたくなり、山手線と地下鉄を乗り継ぎ国会議事堂前に行ってみた。

 

国会議事堂前に響く声

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 国会議事堂前の駅を降りて総理官邸前の交差点に出る。道路は思いのほか静かで、車も人通りも少なかった。デモなんてやっていないじゃないか?と思いながら周囲を見回していると、どこか遠くから鳴り物と拡声器によって音割れしている女性の声が響いてきた。その声の聞こえる方向にあてもなく歩くと、人の集団らしきものが見えてきた。

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 デモの主催者の発表によると現地に着いた20:30前後には5000人が集結。集合場所の国会正門前交差点を何度か往復して、その発表の人数は妥当だと認識した。人の出入りも激しくて正確な数字を出せないが少なくても3000人〜4000人は確実だ。集まっていた人もお年寄りだけでなく会社帰りのスーツで着ているサラリーマン、各大学の旗を掲げている学生など老若男女が入り交じっている。ただ、なんとなく女性が思っていたよりも多いような印象だ。

 

ツイッターで拾った案内

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大勢の抗議を浴びながら、無言を貫く議事堂

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国会正門前交差点で叫び続ける参加者

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 僕はその集団に入ったり、わざと離れて遠くから眺めては写真や動画を撮影。同時に拡声器から叫ばれている声に耳を傾けてみると、多くの声が溢れてきた。

「安倍辞めろ!」
「金田(大臣)辞めろ!」
「自民、感じ悪いよね!」
「民主主義ってなんだ?」 

 
その叫びは数に任せて横暴を振るう権力に向けた直接の怒りなのは間違いないけど、強さは感じない。デモ参加者の「辞めろ!」という叫びは確かに口調こそ荒っぽい。だけどそれは狂気に任せた暴力的な感情の発露というよりも、この国の権力が強引に持ち去ろうとする「なにか大事なもの」を逆側から引っ張って守ろうとする切実さ、悲壮さを感じさせた。誤解を恐れずにいうとこのデモの参加者のほとんどはおそらく、数に勝る権力の横暴を止められると思っていない。だがそれでも何かをせずにはいられないという切羽詰まったような空気が国会前を覆っていた。デモは権力だけでなく、自分たちの心の奥底にある「政治への諦め」に対する抵抗でもあったのだと思う。

 よく「自称保守」やネット右翼らはこのデモに参加するような人たちやそのデモの主張を「サヨク」「パヨク」などという単語などを交えながらそれらをクレイジーでヒステリックなものであるとあざ笑ったりしているのをネットで見かけるが、それらは事実なのだろうか?東京オリンピックに向けて、テロ行為から国民を守るための法案であると政府は語る。だが、この交差点に集まっている人たちはそんな話を誰も信じていない。寧ろ逆にデモの参加者は「国民の自由を政府から守ろう!」と叫び、正当な手続きを経ないで法案を議決する政府の今回の行為を「クーデター」であり、現政権こそが国民の自由を奪う敵なのだという。どちらの言い分が正しくて、どちらが誤っているのかはこの記事では述べない。だが、少なくても現在の政権は何度も意図的な誤り、いわゆる「ウソ」を僕ら国民につき続けている。あるものを「ない」といい、権力者にとって都合のよくない情報が記述されている行政文書を怪文書と言い続け、弁明が苦しくなると「全ては役人たちの勝手にやったこと」と、弱い者に責任をなすりつける。共謀罪をどう思うか以前に僕自身、政権の発言が信頼に足るものとは到底思えない。たとえ法案について政権の言い分の方が正しかったとしても、デモ側が政権側に向けた「あなたたちの話はとても信用できない!」という訴えはもっともだ。そして、この意見は今やデモの参加者や僕だけにとどまらない。


www.nhk.or.jp

 わざわざでかい声でいわないだけで「この人たちって実は嘘つきなんじゃないか?」と考えている人が増えてきている。そして都議選前の首相演説ではついに安倍とそのお友だちのメチャクチャな振る舞いに耐えかねた人たちが集まり、「安倍辞めろ」コールが周囲を取り囲んだという。

takenori.info

 この空気をまだ政権側は甘く考えているかもしれないが不支持の大きな理由になっているのが「首相の人柄が信頼できない」ことだというのは由々しき事態との危機感を持つべきだ。

 

民主主義ってなんだ? 

 話をデモに戻そう。多くの批判が拡声器を通じて国会議事堂にぶつけられてる中で、時折「民主主義ってなんだ?」という叫びが合間に挟まれているのが何度か聞こえてきた。その叫びは権力側に対しての詰問であり、参加者全員の自問自答でもあり、この場にいないサイレントマジョリティへの訴えにも思えた。「選挙で立候補者に投票して、はい終わり。それは本当に民主主義なんですか?今、数に任せた暴挙で国会が大変な事になっている。あなたはそれを放っておいていいのか?民主主義は誰もが吸っている空気みたいに当たり前にあるものじゃないことに皆さん、気づいて下さい!」
 

 デモを横で見ていた僕自身がそう言われたような気分だった。同時にこのデモは単なる共謀罪反対を訴えるだけでなく、この国のほとんどの人が呑気に信じている「民主主義」というのがどんなものなのかを僕に見せつけた。絶対的多数を得た者は自らの利益を守るため少数を徹底的に叩き、排除する。排除されるのが嫌だったら多数の支持を得て、力を手にして自分たち以外を敵と定めて叩く側に回ればいい。今回の件にしても、数多の閣僚の不祥事にしても、首相の名前を冠した小学校の設立を巡る問題にしても権力側の「悔しかったらお前らも多数をとってみろ!物事っていうのは道理じゃなく数の多さが全てだ!」と言わんばかりの横柄な政権側の態度が目に着く。そしてそんな態度を多くの人が問題にもせず「私の日常には関係ない」としてまともに目を向けない。これが僕たちの信じていた「民主主義」の行き着く先にあるものだったことに僕は少なからず唖然とさせられた。数の多い方が絶対的な権力を持ち、少数派はその横暴に耐えるか意見を曲げて寝返る以外に生きる道がない。そんなのは断じて民主主義ではない。だったら本当の民主主義って何だ?と問われても、現在の僕はその適切な答えを持っていない。そのことが情けない。

 

 このブログのタイトルは「サブカル 語る。」であり、サブカルチャーの雑学なやバカな話などを中心にダベリたくてはじめたものだ。だけど今日僕がこのブログで語りたかったのは「サブカル的な絵空事」ではない。「民主主義国家」の日本で起た平凡なある日の出来事。つまり現実だ。 それも遠くの国の出来事じゃなくて、僕やあなたのいる現実と陸続きになっている世界の現実なのだ。そのことだけは絶対に忘れたらいけない。

  

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 共謀罪が採決された6/15のあるアンケート結果に大笑い。


そしてもうひとつ。共謀罪だけでなく憲法改正ももはや不可避のテーマになった。

 

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※僕、あなたにとっての「民主主義」ってなんだろう?

印象操作を行うまでもなく、安倍首相の支持率はすごく高い(笑)

こんにちは

 森友学園グループの塚本幼稚園で行われた、園児の「安倍首相頑張れ!」というコールから始まる「安倍晋三記念小学校」設立疑惑は、いつの間にやら加計学園の経営する岡山理科大学獣医学部の新設をめぐる疑惑に舞台を移したような印象を抱かせます。

 

 

政治家としての実績より疑惑の方が多い首相 

 この疑惑を簡単にまとめると、愛媛県今治市獣医学部を作ろうっていう話に上記の大学ほか京都産業大学も立候補したのにも関わらず、その競合であっさり岡山理科大に決定。実を言うと安倍首相とこの加計学園グループの理事長は付き合いの長いお友達であり、そのため安倍首相の主導によって岡山理科大に決まったんじゃないか?という疑いが持たれていたんですが、その当時文部科学省事務次官を務めていたという前川さんが「そうだよ。岡山に決めろという、権力のプレッシャーがすごかったね、マジで。官房長官怪文書だ!といっているそのやりとりについて書かれているエビデンスはどうかって?それらの文書も本物。俺もその文書を見ているもん」とあっさり暴露。その途端に政府のお偉いさんらはとある新聞を使って「前川は女性をいかがわしいバーで買ってるぞ!」と吹聴するなどの個人攻撃を行っていました。そのくせ野党側の議員から「政府の話はあてにならないだけでなく、疑惑の調査をお願いしてもぜんぜんやらない」。だったら関係者まとめて呼んで証人喚問やろう!っていわれたらムキになって「自分を犯罪者みたいにいうな!それは印象操作だ!」とを国会で叫びまくることで、「忖度」とセットで今年の流行語大賞独占を狙ってるんじゃないの?とか思ったりもします。でなけりゃ新しい言葉を覚えたてで、使いたがっているかのどちらかだろうな。なにせ驚くほどボキャブラリに乏しいからこのおっさん。

 

この疑惑塗れな首相の支持率って、実際どうなの? 

 さて本題。各方面から安倍さんのお友達優遇を語る証拠、証言などが集まってきていますが、現在の内閣支持率ってどのくらいでしょう。最近、日本経済新聞社のサイト「日経vote」でこういったアンケートが行われてちょっとした話題になりました。

www.nikkei.com

(1)加計学園問題をめぐる政府の説明に納得できますか

できる :18.6%
できない:81.4%


(2)前川前文科次官の説明に納得できますか

できる :74.1%
できない:25.9%

(3)安倍内閣を支持しますか、しませんか

する :26.7%
しない:73.3%

 

 この結果をもって安倍政権の支持率ガタ落ち!と喜ぶ反安倍派がツイッターに溢れていました。だけど。僕自身、現在の政権を支持しないけど、この結果から単純に安倍政権支持率急落とはいえないと思っています。詳しくはホームページを見てもらえば分かるんだけどこのアンケート、対象人数も年齢別の結果の割合も男女別の結果の割合も書かれていない。最初の設問が加計学園疑惑に関心を持っている人向けなのでそりゃ反安倍の回答率も高くなるわなというだけの事。2,3週間前まで支持率6割だったのがそんないきなり落ちることなんてあんまり考えられません。ただ、急落とはいわないけど各メディアの行っている世論調査を見る限り支持率が減少の傾向にあるっていうことはいえると思います。

www.fnn-news.com

 そんなことをいっていたらあれよあれよという間にこんな具合。

www.huffingtonpost.jp

www.news24.jp

 

2018年の4月には森友と加計の疑惑が再度高まり、最低を更新

headlines.yahoo.co.jp 

いやに支持率が高い世論調査サイトについて

 だけど皆さん。あるサイトでは安倍内閣の支持率がめっちゃ高いの知ってますか?

日本アンケート協会インターネット事務局

日本アンケート協会っていうといかにも公益団体っぽいイメージだけど、その実態は単なる趣味の集まり。そこで「今日の内閣支持率」っていうアンケートを毎日行っています。アンケート設問は「内閣支持」「内閣不支持」だけというシンプル2択。

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 およそ、過去一ヶ月の結果を見るとだいたい60%以上の高い数値で内閣支持となっていますが6/6は安倍首相が野党からの質問でボッコボコ状態だった集中審議日。この日は内閣支持率も5割以下になっていました。
 んでもって翌日の6/7のアンケート結果。

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 誰がやっているんだか知らないけど、印象操作も度を過ぎると却って怪しいといういい見本。久々に笑いました。大変だな、自民のネットサポーターっていうのも。え?やってない。ごめん、僕も印象操作やっちゃったかな。

 

追記:国会前のデモをよそに、中間報告で論議をぶっとばして共謀罪を議決した6/15。この日、上記サイトではもっとも支持率上がるんだろうなとか思っていたら、案の定。

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6/15の内閣支持率:82.5%

情報操作やるなら、お前らもっとうまくやれよといいたくなる。

  

 


 

 

 


  

ヘイトスピーチとは何か?という問題提起の記事と日本について

こんにちは。

 本日のブログのテーマは「ヘイトスピーチ」とは何か?という疑問とそれを巡るこの記事について。

 

 

 

mainichi.jp

 

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ヘイトスピーチとは何かを語る「突撃隊長」

 このブログに長くお付き合いいただいている方は、僕がヘイトスピーチみたいな人権や人間の尊厳等を嘲笑い、踏みにじるような卑劣で野蛮な行為を許せじ!とひどく嫌っているのはもうご存知のことでしょう。そんな中で本日紹介されたこの記事。日常的にヘイトスピーチを垂れ流している輩の界隈で「突撃隊長」という異名を持つことから周囲に一目置かれていた人物のヘイト体験悔恨録なんだけど面白いだけでなく、現在の日本社会のカルト化という問題を考える上で重要な証言といっても過言じゃありません。

 

   記事の主人公である「突撃隊長」は38歳の男性会社員。不景気の煽りを受けて会社を転々とする20代の前半ごろに「中国のスパイが日本にいる」「長野オリンピックの応援で来た中国人に人民解放軍の関係者が紛れていた」などのネトウヨ的な言説を書き殴るブログに触れた事で自分は「マスコミが報じない真実を言っている」と考えるようになっていきます。
 

ヘイトスピーチ突撃隊長の安心感と疎外の恐怖

 そういった体験からヘイトへの下地を育てていった突撃隊長は、これまたネットで「反原発は左翼勢力と在日コリアンの勢力が結託して、日本の経済を破壊するために行っている」という荒唐無稽な書き込みを目にした事でそのデマを信じ、反原発へ不満を募らせて原発再稼働を訴えるデモに参加。ネットで広く公開されたデモの動画に寄せられた賛意のコメントから「自分の思いは支持されている」と強く思い込むようになり、在日外国人への敵意と自分なりの正義感を増幅させ、積極的にヘイトデモに加わることになっていきます。ところがヘイトデモを続けることで友人も増えていき、自分の場所を見つけた!という充実感を抱いていた反面、暴力的になっていくデモについて「やりすぎじゃないか?」という考えも芽生えているのも気づくように。だけどその自分の迷いを口にすると周囲から「裏切り者」扱いされる。ヘイトデモの現場は突撃隊長にとってもはや「楽しい居場所」などではなく「疎外の恐怖」を抱かせる場所になっていたのでした。その恐怖に抗うかのように、突撃隊長の行動も更に過激に変貌。暴力的な言葉態度を更に先鋭化させ、ナチスの象徴であるカギ十字の旗を掲げ、強者を演じる内に気づいたら周囲の尊敬を集める存在になっており、「団体における優越感」と「疎外の恐怖」の交じる空気の中で自分を見失っていった突撃隊長には自分とは相反する考えではありながら、どこか同情を抱いている自分もいます。
 

ヘイトスピーチの生む憎しみの連鎖から脱却

   そして突撃隊長はエスカレートさせたヘイトスピーチの果てに傷害罪で逮捕。それをきっかけにヘイトデモ団体との関係も疎遠になったことでヘイト仲間から「裏切り者」と酷く罵倒されるような立場になってしまいます。ところがそんな突撃隊長に声をかけた人物もいました。ヘイトへスピーチへのカウンター活動を続けている在日コリアンの男性は「もしも嫌がらせとかあったらいつでも相談に来てよ!」というメッセージを突撃隊長に送っていたのです。突撃隊長は「なんで自分が攻撃していた人が親切に接してくれるんだろう?」と戸惑いながら自らの行為を省み、あらためて調べると自分の信じていた「在日特権」など在日外国人を叩く材料に使っていた情報はヘイトを煽るためのデマだったことに気付き、自分の行為の過ちを認めてその男性のカウンター活動団体に面会して直接謝罪。カウンター団体は「(自分の)してきたことを忘れないで、幸せになりなさい」と声をかけたそうです。

 

   上記の記事をまとめている最中、鴻上尚史さんのエッセイ「ドン・キホーテのピアス」で紹介された、あるエピソードを思い出しました。そのエピソードはオウム真理教サリン事件を通じて読者に「批判精神」がどういうプロセスで鈍っていくかを自らの体験談を交えて語ったものです。

 

「批判の精神」を手放したらいけない 

 鴻上さんは学生の頃、友人があるカルトにハマったのを放っておけなくなり、友人のカルト脱会をサポートした経験があるそうです。鴻上さんいわく「人間には誰でも批判精神を持っているけれど、誰かに自分の価値観を受け入れてもらえた!という体験を味わった途端に脆くなる。自分と自分を受け入れたものの間にある「ズレ」に対して批判精神も最初は抗うけど、その葛藤に疲れ果てた時に人は「私をだましてよ」と自分を受け入れた人物や団体に「騙されること」を望むようになり、それらに依存度を深めて外と世界との拒絶を深めることになる。鴻上さんはその友人をカルトのコミュニティから引き剥がして、丁寧に「人生というものを丸ごと理解できる都合のいい答えなどない。それは自分で考えて生きていかなきゃいけないんだ」と説得を続け、結果的に友人は「人生に真理なんていうものなどなく、自分で考えて物事の答えを見つけるしかない」ことを受け入れてカルトを脱会。人生や物事の理を丸ごと理解できる解などない。その当たり前だけど残酷できびしい現実を認め、号泣する友人を目の当たりにして自らも涙をこぼしたそうな。

 

   このエピソードはエッセイ集「ドン・キホーテのピアス」で「20世紀の終わりの泣き声について」という題で掲載。この本の中で鴻上さんは「本当に悲しいけど、オウムみたいな団体は今後も現れ続けるだろう」と書いているけど、本日紹介したヘイトスピーチに染まって逮捕された突撃隊長の悔恨録を読む限り、この批判精神を巡る問題は現在の「日本社会のカルト化」という現象につながっているように思えてなりません。僕らは現在、21世紀を生きている筈なんだけど実際には20世紀はまだ続いており、さらに時計の針は権力の横暴によってさらに逆戻りして教育勅語を良しとする19世紀まで戻ろうとしている。その現実の前に、僕はこのブログを読んでくれたあなたにこう語りかけてみたく思います。

「皆さんの批判精神、お元気ですか?」と。

 

 

 

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おっとchikan!の歌詞のひどさについてあらためて考えてみる

こんにちは。

 

 本日のテーマは「痴漢冤罪」。日本でも以前に「痴漢冤罪」をテーマにした「それでもボクはやってない」というタイトルの映画作品を周防正行監督が作ったことで大きな反響になったけど、この手の話題は現在でも尽きることがありません。

 

それでもボクはやってない - Wikipedia 

 

 

おっとCHIKAN!の歌詞はひどい!

 さて本題。本日のブログ記事のタイトルだけどマジで日本の80年代、そういう不謹慎な歌があったんです。この歌を歌っていたのはAKB48の先駆けといえるアイドルグループ「おニャン子クラブ」。

www.youtube.com

 

おっとCHIKAN!の歌詞を文章にするとその酷さが分かる 

 歌詞のおおまかな内容を紹介。満員電車でストレスをためた女子高生が同じ車両にガリ勉みたいな格好の男を見つけたので、そいつを使ってイタズラをしかけてイライラを発散。男の手を掴んで大声で「この人痴漢よ」と叫び、男が無実で周囲に囲まれているのを見て、気分はもう最高!この歌詞のひどさはもう犯罪モンだわ。

 

 僕も毎朝、満員電車で通勤。みんなも急いでいることぐらい理解できます。だけどどう考えたってこれ以上の人は乗れないだろ?というほど満員となった車両めがけつっこんでくる乗客たちにゃ腹立つ!確かにムカつく!

 

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※朝の中央線って、こんな感じ。

出典:範馬刃牙板垣恵介_秋田書店

 

 

nikkan-spa.jp

 

 

 この記事によると満員電車の乗車率No,1は京浜東北線。とはいっても首都圏の電車混雑なんて大同小異だよね。

 

  車両が満員を越える満員でドアの窓ガラスがこんな感じなのに。そういう乗客らには力を込めた本気の正拳突きを、内側からえぐり込むように打つべし!という感じで顔に思いっきり食らわせてやりたいという衝動にかられます。

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※ やらないよ当然!

 

 だけど、満員電車でストレス溜まっていても痴漢冤罪でストレス解消!ラッキー!はいくら歌の中のフィクションってていったってひどい。

 

常識や正論、倫理に舌を出すことがカッコよかった頃

 こんなふうに今ならネットなどでバッシングされまくりそうな歌が今で言うところの「まゆゆ」とか「さっしー」や「ゆきりん」が普通に歌っていて、みんなそれをさほど批判もせずに受け入れられていた時代があったんですよ。もちろん痴漢は犯罪であり、許される行為ではありません。こういう歌が普通に流通していたということは、当時は現在と比べて人権についての意識が希薄だったことの証左だけども、そんな時代をどこかで懐かしく思うる自分もいます。そんなことをいったら女性に怒られるだろうけど。

 

 もしもこの歌をAKB48やその他のアイドルが歌ったら多くの非難を受けるでしょう。だけど。確かにひどい曲なんだけども、この作詞に僕は作為的な「バカ」さを強く感じるのです。モラルに反していることを分かっているうえでうそぶきそれを楽しんでいるような「思考の上に成り立っているバカ」というべきか、表現が難しいけど。バカが何も考えずに馬鹿をやってその写真を流通させたことで、エライ騒ぎになっていく「バカッター」な話題をたまに見ますが、現在のそれと比べると80年代のバカって明らかに質が違う。この質の違いはなにかについてはいつかまた考えたく思っています。だけどこの歌、本当にヒドい。

 

追記:そんでもってこの価値観を思いっきり前面に押し出して叩かれたLOFT。

 

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おニャン子クラブのメンバーを君は何人言えるかな?言えても偉くないけど(笑)  

フェイクニュースとは何か?について考えてみた。

こんにちは

 

 本日のテーマは「走れメロス」。文豪、太宰治の名作小説です。物語は皆さんも知ってのとおり、暴君に対して逆らったメロスが処刑される事になった際に、 「俺の処刑の日は、妹の結婚式があるので刑の執行をちょっとだけ待ってくんね?代わりに俺の親友を置いてくので、俺が戻らなかったらそいつを処刑ってことで。ぜってーに戻るから大丈夫!!」みたいなノリで親友のセリヌンティウスを人質に結婚式に出席した後、走って友の元に戻るまでを描く名作。だけども、この名作に異議を唱えた中学生が!! 

 

 

タラタラ歩くな!いい加減走れメロス

commonpost.info

  

nlab.itmedia.co.jp

 中学生の村田一真くんが昨年に一般財団法人 理数教育研究所開催の「算数・数学の自由研究」で「メロスの全力を検証」という論文を発表。その論文によると、メロスは走るどころか往路は単なる徒歩。復路も早歩き程度の速度ということでした。

 

 上記リンクによると、物語の中でメロスは妹の結婚式に出席するために3日間の猶予を王からもらって初日・最終日を使って10里の道を往復とありますが、この10里という距離単位をキロメートルで換算すると 10里 =(約39キロ)。原作を読むといかにも長距離というイメージを抱きそうですけど実際にはフルマラソンの距離よりも短かい!この論文で村田君はメロスの走った街の風景やその周囲の人々の描写から拠点ごとの到達時間を算出して平均的な移動速度を、時速4km以下と結論づけています。

※この詳細については、興味があったら上記をどうぞ。

 

 論文については「見事」という意見だけでなく、小説というフィクションによる感動を台無しにさせるものである。という意見もあったことでしょう。だけど思い込みによる思考の停止によりも物事に対する「批評精神」ともいうべきものをなかなか発揮できない頭の固いおじさんになった僕にはとても新鮮でした。

 

根拠のない思い込みほど怖いものはない

 1997年に、アメリカのアイダホ州である中学生が「ジハイドロジェン・モノキサイド」という化学物質の特徴を調べ、論文で大人達にこの物質の是非を問いかけました。さて、このジハイドロジェン・モノキサイド。日本語訳でいうと「一酸化ニ水素」。その物質の特徴(メリット・デメリット)については以下の とおりになります。

 

酸性雨を降らせる原因ともなる
②地形の侵食を引き起こす
③金属を錆びさせる
④ジャンクフードの添加物になる
⑤植物の育成を促進させる
⑥人体にも含まれている

 

 この化学物質は人類にとって有益かどうか?「一酸化ニ水素」という日本語表記がヒントではありますが、そもそもこの物質は何なのか?

答えはH2O=水。列挙した特徴を見ていくとそれは明らかです。

酸性雨を降らせる原因になる

そりゃ確かに、雨に酸が含まれれば酸性雨になりますわな。

②地形の侵食を引き起こす

雨が地面を柔らかくする事で、土砂崩れなどを引き起こすこともある。

③金属を錆びさせる

水は金属の表面を濡らして酸化させ、錆びさせる。

④ジャンクフードの添加物になる

ジャンクフード(だけでなく)殆どの食品に含まれる。

⑤植物の育成を促進させる

植物を育てるため不可欠。

⑥人体にも含まれている

言うまでもなく人体を構成する大きな要素である。

 

 上記の特徴は普通に考えて「当たり前」という話をもっともらしく書くことで大人の思考を混乱させるものでした。だけど、この実験で多くの大人たちはその「当たり前」に気づけなかった。この中学生が水を「ジハイドロジェン・モノキサイド」と名づけ、化学物質という形でそれっぽく周囲に説明して、否定的で感情的な性質を述べた結果

 

50人中で43人が否
6人が可否の回答を留保
この物質が単なる水である事を見抜けたのはたった1人だったのです。

 

e-zatugaku.com

 

 もっとも、この当時はインターネットなども現在ほど発達していなかったため、情報を判断する材料も乏しかっただっただろうという事も考えなくてはいけないでしょう。だけど、たとえ現在同じ実験を行ったとしても結果はさほど変わらないんじゃないか?とも思う。そんな事をこの話題から考えさせられました。

 

togetter.com

 

ネットにこそ真実や事実がある?冗談だろ! 

 ただ、これらはまだ笑い話や知的好奇心をくすぐる興味深い話題として扱える平和でのん気なニュースだからいい。だけどこの数年で、普通の人々がもっともらしいウソに踊らされたことで民族や人種差別を煽るような事件が多発しているのは全く笑えない。

 

 数日前にNHKクローズアップ現代で「フェイクニュース」を取り上げているのを見ました。フェイクニュースとは文字どおり「ウソ」の話題。実際と異なる情報がメディアやSNSなどを通じて大勢の人たちに発信し続けられていくことで、その情報が事実を凌駕してあたかも真実になりかわったようになる現象を説明する際に、よく使います。

www.newsweekjapan.jp

 

ネットの引き起こした差別騒動 

 番組の中ではドイツの地方新聞で記者を務めているペーター・バンダーマンさんの体験が紹介されました。ペーターさんの地元では大晦日、広場で新年を祝おうと1000人もの人が集って爆竹を鳴らしたり大騒ぎしていました。だけどもその火でボヤ騒ぎが発生。集まり自体が毎年恒例のものであり、ボヤも10分前後で収まったため、大騒ぎになるものでもなかった。ところがそのボヤの騒ぎを伝えたペーターさんの文章と動画がオーストリアのニュースサイトではまるで「アラブの人が放火騒ぎを起こした」みたいな話にされて拡散されたというのです。

 

現実を凌駕する、ネットに漂うウソ  

 最初、ペーターさんはよくある移民排斥の扇情記事には困ったものと思って呆れていました。ところが、その書き換えられた報道は本人さえ思わぬ事態に。数日後にはイギリスで「1000人もの暴徒が警察を襲撃。放火騒ぎも発生」などといったタイトルになってさらに文章は拡散。イスラム系の移民がテロの組織に関わっていると思わせるでたらめなものになり、ペーターさんの文章はイスラム系の人々への差別を煽り立てるものとして30ヶ国近く、5万人の人々に読まれることとなりました。そして、ペーターさんはこの事態を看過できないものとして、文章の発信者としての責任を果たすべく、記事が捏造されたものであることを反論。正確な情報を伝えれば誤解も解けると思っていたけど、この反論にあった反応はたった500件。誤って伝わった情報の読者、5万件の1/100程度に届くのが精一杯でした。ペーターさんはツイッターでこう呟きました。

「事実がウソに塗り替えられてしまう。どうすればいいのか、誰か教えて下さい。」

 

www.nhk.or.jp

 

  この話は日本でも他人ごとではありません。先日も「韓国」を題材にしたあるニュースサイトがヒドいデマを垂れ流しているものであると判明。

www.buzzfeed.com

 そのニュースサイトの運営者はたいして悪びれずに「ヘイト記事は拡散する」「そういった(韓国が憎い)という情報を望んでいる人もいる」と他人ごとみたく語っているので僕もかなり頭にきていたんだけど、このデマを広げたのは僕らの世代にも大勢いることでしょう。だけど僕らの世代はある事件をきっかけにして根拠のない情報を広げることの恐ろしさをあらためて学ぶことができます。

 

ネットの無い時代に駆け巡った、高橋名人逮捕のウソ

 その事件とは高橋名人の逮捕」。1980年代にゲームメーカーの(旧)ハドソンがプロデュースした「1秒間16連射」が特技のファミコンマスター高橋名人小学館の「コロコロコミック」などをつうじて小学生の心をガッチリ掴み、アニメ化や歌手活動、テレビ東京で「高橋名人のおもしろランド」という冠番組を持つまでに至ったその人気は、ある情報をきっかけに地に落ちます。その情報とは「1秒間16連射ファミコンのコントローラーの連射ボタンにバネを仕込んでいたからできるインチキであって、そのインチキがバレて、警察に逮捕された」とかいう荒唐無稽なものでした。

 

 ところがこの情報がインターネットもない時代だったのにも関わらず、全国の子どもたちに驚くべき早さで広がったのです。もちろん、この情報は真っ赤なウソ。この情報の真相は東京都内の警察署で一日警察署長を務めるために、警察署へ足を運んだ高橋名人を偶然見た人達を起点にした噂が別の話になって広がったというものみたいでした。噂が出た翌月のコロコロコミックでは高橋名人本人もその話に触れており、高橋名人を主人公とする漫画のネタにもなっていましたね。そういや。


   当時の僕はご多分にもれず高橋名人に憧れる小学生の一人ではあったけど、その話は「ヘンだな」と思っていました。名人逮捕の噂が広がった週にも高橋名人が司会の番組は普通通り放映されていたし、なにより新聞やどのテレビもその話題をまったく報道していない。たかがファミコン名人であってもこれだけメディアに露出している人物だったら絶対報道されるはずだという確信からこの話は嘘っぽいと考え、その話題には積極的に乗らなかったのです。また、同時にうわさ話をする同級生達の表情にもなんとなくひっかかるものがありました。

 

 同級生は「俺達をダマした」と怒っているのに高橋名人逮捕の話題をどこか楽しそうに語っているように思えて仕方なかったのです。子どものアイドルが警察に逮捕される。ふつうに考えるとそれは悲しい話にも思えますけれど勢いの盛んな人気者がいきなりの苦境に立たされる姿に自分がまるで強者になったような快感を覚える、後ろ暗い心理もあったんじゃないのか。だから正直なところ、みんなは16連射が事実なのか否か実際はどうでもよく、自分たちが堂々と貶めることのできる標的づくりのため高橋名人を都合よく利用しただけだったのでしょう。

 

ウソっぽい情報なのかどうかを見分けるポイント   

 結局のところ、何が事実で何が誤りかは流れてきた情報だけでは簡単に判断できません。ただ、「ウソっぽい情報」に気をつけるためのポイントはある。それはその情報の発信者の表情と口調です。発信者の表情や口調、文体が他人を貶める下卑たものになってはいないか。その口から発する情報は口汚くないか。

 

 フェイクなニュースは人々に事実を伝えることより情報を広める事、興味を引く事、そして他人を貶めて愉悦に浸ろうとする事が目的になっているためか、語り口や文章が扇情的で挑発的、さらに攻撃的で実直には程遠い下品さに溢れています。だからなんでこんな番組を信じる人がいるのか僕にはまったく理解できなくて困惑させられます。

 

www.dhctheater.com

 

  あなたに「ねぇ知ってる?」と語りかけてくる情報がどこか扇情的、攻撃的で特定の団体や個人を中傷する類のものだったら要注意!!そしてそれらを見たり聞いたりして、心地よさや愉快さを感じていたら、あなたはフェイクニュース発信の片棒を担ぐ手前にいるのかも知れません。

 

 

 

 

教育勅語とは何かを、マンガの「魁!!男塾」のギャグから考える

こんにちは

   最近のニュースを見ていると「教育勅語」やヒトラーの「わが闘争」を教育に使うことに問題があるだのないだの騒いでいますけれど僕個人の感想をいわせていただくと、「地味に戦前回帰が始まってきやがったな」という印象を抱いております。

 

 

 

www.nikkei.com

 あ、ヒトラーといえば最近こんな「ホリエモン」とかいうバカもいました。

www.huffingtonpost.jp

 「頭悪いな」は自分自身についての呟きなのか、又はこの件に抗議する人たちへの悪態か。どちらの意味で受け取るかは読者の皆さんにお任せいたします。話は変わるけど、ライブドアの社長時代のホリエモンのそばにピッタリいた美人広報(言うほど美人じゃない)乙部さんてどこに言ったんだろう?と思って調べてみたら、ホリエモン逮捕の後に泥船から逃げるねずみのように会社を去って一般企業に再就職。ブログ「オトベノオシゴト」も現在閉鎖とのこと。もうあの「ライブドア」事件から10年も経つんだなとしみじみさせてもらいました。

 

教育勅語とは何か?日本人=国の下僕の心得

 さて本題。この教育勅語って、どんな内容かを実際に見てみましょう。

 

教育ニ関スル勅語 - Wikipedia

 

 教育勅語の本文が旧字体なのでさっぱりわかりません。そこで小説家の高橋源一郎さんによる現代語訳をどうぞ。

 

以下、高橋源一郎さんによる日本語訳のまとめ(以下リンク)

   『この国は天皇家の祖先が作ったもの。君たち国民は、天皇家の臣下であるわけです。国民は長い間、臣下としては主君に忠誠を尽くしてきた。その歴史こそ、この国の根本であるからこそこの国の教育もそこに重きを置かなきゃなりません。国民はそれを前提にした上で、父母を敬い、兄弟は仲良くし、夫婦は喧嘩しないこと。そして友だちは信じ合い、何をするにも慎み深く、博愛精神を持ち、勉強し、仕事のやり方を習い、そのことによって智能をさらに上の段階に押し上げ、徳と才能をさらに立派なものにし、なにより、公共の利益と社会の為になることを第一に考えるような人間にならなくちゃなりません。その上で戦争が起こったりしたら、勇気を持ち、公のために奉仕してください。というか、永遠に続く天皇家を護るために戦争に行ってください。

dot.asahi.com

 

 高橋さん自身が現代語に翻訳していてドン引きしたというのも頷けます。ドン引きどころの話ではなく、学校の授業などで使おうなんてどれだけ問題があるか、ネトウヨでもなけりゃお分かりでしょう。「こりゃアカンわな」と。さらにいうとこんなもんを現在の日本教育に使おうという連中のおかしさにもいいかげん気づくと思うんだけど、どうなんだろう?あんまりみんな問題視しないのかな。さて、このもう笑えるとかいうレベルを越えた現在の日本。この国のおぞましい姿を、驚くべきことに80年代に予見していた漫画があったりします。その作品とは「魁!!男塾

 

魁!!男塾 - Wikipedia

 

軍国主義の賛美?いえいえ単なるギャグ

 学校に行き場のない不良たちを全国から集め「こいつらこそ真のエリート!戦後の教育というぬるま湯に浸かった頭でっかちの奴らなど何もできん!!」と、反知性主義の塾長「江田島平八」が立ち上げた塾での不良たちの生き様を描く80年代の週刊少年ジャンプを代表するバトル漫画です。最初こそ授業でいい年こいた大人に掛け算九九を暗唱させたり、旧日本軍の軍服を着た、いかにもなコスプレ教官を登場させたりなどギャグ要素の強い作品だったんですけど途中から不良同士の抗争にテーマが移っていき、そのケンカに中国拳法や格闘技の使い手がいたことから荒唐無稽な武道史が「民明書房」「曙蓬莱新聞社」などといった空想の出版社から出された本の引用という形で紹介されたことで、僕らバカな子どもは「それってマジ?」と本気になって民明書房の本を本探したりもしたもんでした。その様を見た大人に「漫画の情報と現実をないまぜにするな」と諭されて赤面をしながら僕らも大人になっていったのです。あーもう無知って恥ずかしいわ。

 

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出典:魁!!男塾宮下あきら 集英社

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出典:魁!!男塾宮下あきら 集英社

 

  

middle-edge.jp

 

ギャグが本気になり、笑えない日本 

 この漫画の架空の武道史や男塾の軍国教育の描写を、僕らは荒唐無稽でバカバカしいものと笑っていた。つまり現代社会において教育勅語が正しいなんてことをいう人たちは「掛け算九九さえロクにできない大人と同じほどのバカ」だと思っていたのです。ところが現実の社会で政治家が「教育勅語は間違っていない!」なんて真顔で言ったりしている。この現状に僕は酷く困惑させられているし、同時にギャグがギャグでなくリアルになっていくこの国にため息が出そうです。ちなみにこの漫画の主人公「剣桃太郎」はその後のスピンオフ作品、続編で驚くべきことに日本の内閣総理大臣になっています。まさに反知性主義の勝利!といったところでしょう。気になるのはこの主人公がどの政党に属していたのか?たぶん「魁!!男塾」だけに新党さきがけだろう。

 


 


 

 宮下あきら、こんなの書いてたの?

 

社会人になってゲームを卒業した後も遊びたくなるクソゲー

こんにちは

 企業で4月3日に行われた入社式を終えて、今日からいよいよ社会人としての生活も本格的にスタート。このブログの記事も以前書いた内容のリマインドですけれどもあまり読まれなかったので、文章を改訂しました。本日は僕なりの新人社会人へのエールとして、社会人にオススメゲームをピックアップ。ってなこといってもまぁ、実際に社会人になったら、あんまりゲームで遊んでいるヒマなんてありませんけどね。だけど、どうせ遊ぶんだったらそれなりに「社会人とは何か」を肌で学べるようなものがいいのではないか?という観点で今回は紹介するラインナップを厳選。

 

社会人になってゲームを卒業した人にお薦めクソゲー 

 

pc-onlinegames.com

 

1、課長 島耕作

 

 コレは以前、ゲームプロデューサーとしてマニアックな認知度を誇るがっぷ獅子丸さんが「ゲーム批評(現在廃刊)」という雑誌で担当していたコーナーの「悪趣味ゲーム紀行」というコラムにあったクソゲーです。今や課長から会長まで昇りつめた究極のサラリーマン、島耕作が勤め先のハツシバ電器を舞台に社内のトラブルや陰謀に立ち向かっていくゲームだけど、具体的に説明しなくても原作を知っている人だったらどんなゲームか想像できるでしょう。社内、外で起こる多くのトラブルやイヤな上司からのムチャ振りを耕作の上の口でのらりくらりかわしていき、いざとなったら使える女性の部下や業務でパートナーになった取引先の相手の女性と関係を持ってズブズブになり、その女性を手足のように使ってトラブル処理にあたるというひどいゲーム。

 

www.youtube.com

 この島課長のサクセス物語はある意味男性の憧れではあるけど決してマネをしないで下さい。こんな社会人になったらダメよ!という反面教師の意味合いでこのゲームを紹介したけど、セクハラ防止研修などの教材として使うのはアリなのかもしれません。実際、このゲーム動画を見ていて、「社会人っていうか人間としてダメだろ」という選択をするほど出世をしていく耕作に心底僕も腹が立ちました。まぁこのゲームを見ていたら「ハツシバ」のモデルになっている東芝がどういう会社だったのか容易に想像できるっていうのもなんだかなというゲームです。

 

 「島 耕作」検定というクソの役にも立たない本もあるので紹介。社会人としてこれほど意味のない資格もないだろうな。

 

次。

2、サラリーマン接待麻雀

 新社会人になった人に教えたいこと。それは接待の難しさと大切さです。生々しい話ですが会社っていうのは実力だけで上にあがっていく事などできません。嫌なヤツだろうがいい人だろうが、上役や会社の取引相手に気に入ってもらう。そのためにそれなりの心づかいが重要です。いったいどうやったら他人に気に入って貰えるか、愛されるのか。それをはっきりいってしまうとぶっちゃけ「おべっか」です。口づけをした後に、ママを直視できなくなるというのはレベッカ。どうでもいいけど。おべっかっていうのは接した相手に気持ち良くなってもらえるように気を使い、お世辞で相手の自尊心をくすぐり、お金で相手の心をとろけさせていく。古来より日本では、そのおべっかが飛び交う上っ面だけの交流「接待」を重要視しておりました。その接待のイロハを学べるゲームがコレ

 

サラリーマン接待麻雀

 

 

    麻雀ゲームは本来、複数の思考ルーチンを持つcomのキャラと対局して1位を目指すってのがデフォルトになっているけどこのゲームはそれをやったらダメ。会社のお得意さんとか契約を抜け駆けしようとするライバル会社の社員などがこのゲームの対局相手ですけど、その対局毎にクリアの条件が変わるのです。会社のお得意さんの接待が目的だった場合には対局相手を勝たせるため、自分とそのパートナーはわざと2位か3位になるというのが条件だったり、取引での抜け駆けを防ぐためにライバル会社の社員を招いた対局だったら自分とパートナーでライバル会社の面子の合計点を越えるのが条件だったり。その時々で大人の都合によってわざと相手に振り込む、低い役で上がって自分の点を抑えこむ、時には対局のパートナーに高い役で上がらせるためにパートナーに振り込んだりするなど、多くの駆け引きが行われるのが特徴だったりする、ふつうに考えて「単純にストレスをためこむだけという結果になるゲームじゃないか」と思えてしまいます。このゲームについては実況中継もあるので、興味あったらどうぞ。長いけど。

nicotter.net

 

nicotter.net

 

nicotter.net

 ただ、このゲームの実況中継者たちは笑って愚痴を言いながら続けているので、案外その「馬鹿馬鹿しさ」が逆に面白いのかもしれません。新社会人もこのゲームで学べ社交術。

3、分かり合える日のために

 社会人になったあなたがぶつかるだろう多くの壁。その中で最も凹むのは「話が通じない、理不尽な相手からのクレーム」。そのクレーム処理を学べるゲームというのがこの作品。

www.teachers-online.jp

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 プレイヤーはこのゲームで松坂健太という20代の小学校教諭になり、小学校で起きたトラブルを同僚の教諭や児童、保護者と話し合いを進めながらトラブル発生の原因を突き止めることでわが子可愛さからクレーマーとなっている保護者らを落ち着かせ、学校と家庭間の連携を深めていきながら多くのトラブル解決にあたっていくというアドベンチャーゲーム。どうせクソゲーだろ。とか思っていたら意外にも面白かった。


 僕は担任編case1の「うちの子がケガを負わされました。学校が責任を取ってください!」を遊びましたが、ケガをした子どもの両親、ケガをさせた子とその親の会話を通じて金八っつあんの気分を味わえました。僕がリアル世界でこんな場面に遭遇したら「お前らの盲目的で狭い価値観が子どもを苦悩させるんじゃボケ!」と怒鳴っちゃうだろうな。製作スタッフのブログを読んだらかなり気合を入れてこのゲーム作ったそうな。ただ、どうせだったらこういう正統派な解決だけでなく、サラリーマン金太郎的な暴力的で荒々しい解決法や、

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 先述した島耕作的な「保護者とズブズブの関係になって万事解決!」みたいな選択肢もあったらいいのにと思いました。