サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

天龍の引退。さらにプロレスを考える

 こんにちは

 

 本日のブログのテーマは最近話題になった、プロレスラーの天竜源一郎の引退。昭和から平成にかけての名レスラー天龍の引退に「昭和は遠くなりにけり」と呟きたくなる自分がいます。中学生の頃に全日本プロレス中継で、ジャンボ鶴田との対決を何度もみては手に汗を握ったもんです。この番組の後に、全日の選手の試合後のコメントが字幕で紹介されていたのですが、饒舌な鶴田たちに比べいつも天龍は「何も話す事はない」のみ。その徹底的な無口さに僕は怖さを感じていましたけど、最近のメディアの露出を見ていると、滑舌がひどかったのであくまで「無口」キャラを演じていたんじゃないか?とか思ったりも。

 などといっても天龍は全日本離脱後に「SWS」というプロレス団体を旗揚げ、その後幾つかの団体を経て全日復帰などと多くの戦場を渡り歩いた超一流のレスラーであることに疑いはありません。このブログを書いてて天龍のSWS参加時にVジャンプで連載された「闘竜王ザウラー」(1990年ごろ)というマンガをふと思い出しました。このマンガはSWSのプロモーションっぽい作品で反則技を受けてボコボコにされている天龍を、恐竜の覆面を被ったザウラーと名乗るレスラーがリングにいきなり現れて救援。次回もまた天龍のピンチに現れることを示唆する内容だったけどその後の続きがなかったため人気なくて打ち切りになったのかと思っていたら不定期連載だったんだ・・・。

 日々読漫画:闘竜王ザウラー - livedoor Blog(ブログ)

 

さて本題。「強さ」というものについて、前にこんな記事を書きました。

 

arrow1953.hatenablog.com


武道と格闘技。その両者の違いは僕の解釈だとこんな感じ。

格闘技・・・相手と同じ条件を持つ相手が、同じタイミングの合図で競う戦闘技術。
武道 ・・・自分のリスクを減らすため相手を不利に、自分を優位におく技術や心構え。

 このどっちにも属さないジャンルにあるのが「プロレス」。90年代に金的、目潰し、噛み付き以外の攻撃を認める異種格闘技の大会がブームになった前後から、相手の攻撃をわざと受けるのが鉄則なために「八百長」「やらせ」といわれていたプロレスラーは本当に強いのかという議論が高まり、実際に異種格闘技の大会のリングにプロレスラーが上がるケースもありました。その火付け役となったのがおそらく、格闘技大会でブームを巻き起こしていたグレイシー柔術に喧嘩を売った安生洋二というプロレスラーでしょう。安生はグレイシー柔術でその当時、多くの大会で優勝を総なめにしていたホイス・グレイシーの兄貴ヒクソン・グレイシーに挑戦するためアメリカに渡り、道場破り。その先で、あえなくヒクソンに返り討ちとなりました。なんだかんだいってもプロレスは強いだろうと思われていただけに、プロレス・格闘技界はその結果に激震。その一部始終を書いたプロレス専門雑誌を手に、僕も戦慄させられましたよ。その道場やぶり以降にプロレスと格闘技の前面抗争っぽい空気が漂い、プロレスラーは積極的な態度でPRIDEやK-1などに参戦。そこで勝ったり負けたりを繰り返していたのも懐かしい話です。

 

 最近はプロレスを観にいく機会もほとんどないため現在のプロレス事情などに疎い部分もありますけど、原則的に僕はプロレスラーは格闘技の土俵にわざわざあがらなくたっていいと思っています。「相手の攻撃を逃げない=やらせ」と考えることの是非はともかくレスラーが弱いはずない。そりゃ単発の大会で考えたら異種格闘試合で負けることもあるでしょう。だけどその大会はせいぜい数ヶ月に一度。プロレスラーは日本全国を回ってリングを作り、その上で年間100日以上も殴り合ったり蹴り合ったり、投げ合ったりしています。タフさだけで言えば格闘技、武道の試合の比じゃありません。

 格闘技が選手の勝ち負けを通じて、その技量の高さをお客さんに魅せるエンタテインメントなら、たぶんプロレスっていうのは勝ち負けを通じて、その中で選手の持つタフさや鍛えた肉体のすごみをお客さんに魅せるエンタテインメントなんだろう。と僕は思います。タフさをお客さんに魅せるためにプロレスラーは相手の技をわざと受ける。そういうことです。

 

 上記の記事でも紹介している板垣恵介の格闘士列伝という本では、「お客さんが見ていなかったらたかがドロップキックだって痛くて受けたくない」という天龍のコメントを掲載しており、それを板垣センセは「プロレスをよく表している言葉だ」と語っていました。プロレスにはどちらが勝つのかが決まっている台本(ブック)がある。これは昔からよくプロレスで囁かれているウワサです。 ひょっとしたらそういう試合もあったりするのかも知れない。それはウワサだけの話で、そんなものはないのかもしれない。 僕にもそれはわかりません。だけども一般人だったら耐えられないだろう威力の技を受けても立ち上がってくるレスラーのタフさは素直に凄い。この人たちもまた武道の達人や、格闘技のチャンピオンと同じく超人だということは間違いないのでしょう。あ~、なんかプロレス生で観たくなってきたな。

  

 

 ※実際、プロレス好きな言論人って多いんだよね。