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サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

左門くんはサモナーが現在もっともおもしろいギャグ漫画だと思う

社会 サブカル 漫画

こんにちは。

昨日、仕事の帰りに本屋に寄って買ってきました。週刊少年ジャンプで連載中のギャグマンガ
左門くんはサモナー」の単行本。

www.shonenjump.com

僕はこの久々に出会った良質のギャグマンガ、大好きなんすよ。
物語は乗り物酔いに苦しむ同級生男子の嘔吐物を両手で受け止めて「大丈夫?」と声をかけたことをきっかけに「仏のてっしー」と周りから呼ばれるようになったいい娘の「天使ヶ原(てしがわら)」さんと趣味は「悪魔召喚」だとクラスの前で堂々と言い放った「左門くん」が中心になっているコメディー。だけど、この左門くんの趣味が中二病特有の妄想でなくガチであったため、彼女は多くのトラブルに遭遇・・・。左門くんに召喚されて出てくる悪魔も非情に個性が強く、左門くんと召喚された悪魔、てっしー、周囲の友人などを交えたのテンポのいいセリフに作者の頭の良さを感じます。

この作品ではゾロアスター教で怠け、惰眠を司る女悪魔ブーシュヤンスタは寝坊ができない時に「二度寝するでヤンス」と笑い、布団を優しくかけてくる愛嬌のある女性悪魔になり、ファイナルファンタジーなどでおなじみの暴飲/防食を司る「ベヒモス」は何度も召喚するのが面倒なので左門により呼び出しっぱなし状態になっており、常にてっしーの暴飲暴食の欲望を煽る存在に。どんな誘惑にも絶対に屈せず食欲に耐えるてっしーを「最高の宿敵」と称え、ノンカロリーのコーラで乾杯を申し出たりなど男気溢れるキャラとして出演。 ダンジョン系RPGの名作「ウィザーリィ」でおなじみの淫魔「サキュバス」は昭和を思わせるボディコンスーツで現実世界に現れて、合コンの勝率は六割!と微妙な数字をドヤ顔で語り、その勝率を支えているのは魔力ではなく、話術と古風な合コンテクのみと豪語。誇らしげな表情をみせるところに「それじゃ仇名が『淫魔』の単なる人間だろ!」とツッコまれたりどのキャラも人間くさい。

また、人間側の脇役も負けず劣らずのクセ者ぞろい。僕の趣味ではてっしーの友人もで視力2.0でありながら男ウケがいいという理由だけで眼鏡をかけており、実態は超肉食系でスチール缶の缶コーヒーを軽々片手で握りつぶせる力を誇り、「男欲しい」と呟く地味めな似非メガネっ娘の嫌田悲恋(やだかなこ)さんが、物語のデフォルトをぶっこわすキャラクタとしてお気に入り。

 

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※伝説の女ヤンキーで視力2.0でありながら男ウケのためにメガネっ娘を演じている嫌田さん。

こういったクセの強い人間(悪魔)キャラが良識派、優等生を振り回す物語構図は80年代では「ハイスクール奇面組!」だったり、90年代では「セクシーコマンドー外伝 すごいよマサルさん」などの作品があり、この「左門くんはサモナー」もその系譜に連なっていると、僕は考えています。

単行本2巻以降のエピソードでは物語に出てくる人物も増え、さらに性格が濃くなった既出のキャラと絡む事でセリフのやりとりの面白さ、テンポなどがさらにパワーアップ。人物同士のセリフの応酬で笑いを取っていく80~90年代の「第三舞台」みたいな小演劇が好きな自分にとってたまりません。

また、この2巻には「左門くん」だけでなくジャンプで短期連載された単眼の女の子ロボットと少年の友情を描いた「モロモノの事情」という作品も掲載されています。

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 ロボが自らの体験を通じて情報を知識としていくという

コンセプトで作られた「モノ」は、人間社会で失敗の連続。

 

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「第二形態のセルみたいな事言い出した」には僕も笑いました。

 

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確かに言ってるわ。

 

だけども、この主人公も周囲も基本的にそのロボットの「ダメ」さを否定しません。この作品だけでなく、左門くんでも周囲の人物はキャラのダメさを根本的に否定しないのです。物語のポイントである「悪魔」は本来、人間にとっては害悪な存在であり、害悪以外の何物でもありません。
だけども周囲の人間はそんな存在を普通に受け入れるだけでなく、悪魔たちのトラブルさえも、日常生活の中に「当たり前のもの」として組み込んでいる。

たぶん、この作者の「沼駿」さんってすごく「いい人」なんだろうと思う。この人の作品の根底にあるのは「異端なモノや人を含めてこの社会は存在している」という柔軟な発想なのではないか。そしてその発想は、確かにある時期のマンガなどが掲げていたテーマだったと思うのです。現在この国のサブカル表現は異端たちとの共存でなく、むしろ「排他」を叫んでいるような印象ですけど、この記事では「左門くん」の賞賛だけを書いていたいしこの国とサブカルについての話は長くなるので別の機会で。

 ギャグのテンポだけでなく、日常と異端が入り混じった牧歌的でのんきな世界。それを味わいたいと思ったらぜひ一読を。

どちらにしてもこの作品、最近人気も上がってきたようでほんとよかった。連載第一話目の時はそれほどこの作品は人気もなかったみたいでジャンプ掲載時には毎回最後尾の近くだったのでこりゃもう打ち切りとなるのかと思っていたんだけど、最近は雑誌の掲載順で中位をキープ中。

いやほんとおもろいのでぜひとも単行本を手にとって下さい。

 

 

左門くんはサモナー 1 [ 沼駿 ]

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※こんなにも僕がギャグマンガをベタ褒めしたのも、マサルさん以来だよなぁ。