サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

「出張ホスト」は経験的に最もお金を稼げるアルバイトだった

こんにちは。

 先日から学生の頃の就職活動についてブログ記事を書き続けているけど、皆さんこのエピソードを面白がってくれているのか、地味ながら読者も増えてきました。

 

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 こういったエピソードでよけりゃいくらだってありますので紹介させてもらいます。本日は社会人編。昨日もブログ記事で書いたけども、僕の本職は東京や日本各地を回ってLANネットワークの構築などを請け負っているネットワーク屋です。前職はアニメ制作だったり、タウン新聞の社員ライターやフリーライターをやったり、まぁ根無し草だった時期も長くありました。その頃に多くの職業を経験させてもらい、そういった経験が現在の業務に活きているのか?といったら微妙ではあるんだけど「社会人」としての足腰を鍛えてくれたんだな、という実感だけはある。そんな幾つかのお仕事でも印象に残るのは短期間だけ体験できた「出張ホスト」でしょうか。

 

 このお仕事のきっかけになったのはフリーライター時代に執筆したあるインタビュー記事。30歳前後だった頃に東京を取材エリアとするフリーペーパーでライターを務めた僕は都内でユニークな仕事に就いている人の取材記事を担当。そこで出会ったコンパニオン派遣の社長さんにお誘いを受けたのです。その会社では女性企業家対象のセミナーの後などに行う懇親会専門の男性コンパニオン派遣を行っていて、どうせだったら取材を兼ねてあなたもやってみたら?というお話に。同時にその会社には若くてキラキラした男性しかいないので、もっと地味目の文系なキャラが欲しいともいっていて、そんな僕はその風貌もピッタリだったそうな。

 

 んでもって取材当日。その社長に「AMちゃんにも源氏名あげる」といわれたので、どんな源氏名なんだろうと思っていたら「ダザイ(太宰)ちゃんかオウガイ(鴎外)くん、どっちがいい?」と、社長は僕の想像を超えるものを提案。僕は「できたらハルキくんとかヒトナリくんがいい」といってみたところ、その社長は「村上春樹辻仁成キライ!!」とにべもない回答。しょうがないので僕の心の底にある自虐のナルシシズムをくすぐるダザイちゃんを選んで、いざ実践とあいなりました。

 

 出張ホスト(コンパニオン)になり「ダザイちゃん」という源氏名をもらった僕は女性社長たちの集うセミナー後の懇親会へ。周囲にいた男性コンパニオンはグラスの空いた女性を見つけては手にボトルを持ってお酌しに回っていました。僕はというと気楽に料理をつまみ、お酒を飲みながら話を聞いているだけだったけど、懇親会の出席者に誰とも交わることもせずにひとりでお酒を飲んでいる女性を発見。せっかくの取材なんだからホストっぽいことのひとつもやろうと声をかけてみたのです。

 

 女性は当時50代で、30代前半の頃に周囲の反対を押し切り会社を設立。多くの苦難をのりこえて年商10億近くまで会社を育ててきたのよと僕に語ってくれました。年商10億っていうのはすごいのかどうか僕にもわかりませんけれど。そしてその女性は、自嘲気味にこう笑いました。

 

「30代から遊びたいのを我慢して女だということを忘れて働いてきた。その努力のおかげでお金に困る事がない今がある。だけど、もっと『女』を満喫したかった。自分はそんな後悔をどこかで引きずっているからいい年して、こういう場所で張り切ってつい、着飾っちゃう。みっともなくて情けなくて笑っちゃう。」

 

 そんなことをいってため息ついていたので励ましてあげようと思い、僕は即興でこう言いました。

 

「みっともないとは僕、思いません。この世に生まれてきた女性は誰でも自らの美を保って守る義務と権利があります。ご自身の『美』にこだわりを持つ事は女性である貴女の義務でもあり権利なんです!」 

 

 このセリフのポイントは権利の後に義務という単語を持ってくること。そうすることで「あなたの気持ちは女性の義務なんだから恥ずかしい事じゃない」と女性の些細な女心を全面的に肯定できるから。コレは即興のセリフだけれど、アドリブながらよくできたなと今も思っています。実際に取材に誘った女社長も「あんたそのセリフをアドリブでいえるんならとんでもない才能だわ!」と僕をベタ褒めしていました。

 

 さて。僕にそういわれた女性は「そんなことを男の人に言われたのは初めてよ!」と僕を抱きしめて左右に強く揺さぶってきたので、僕はその衝撃を受けながら「適当な発言にそこまで感動されてもなぁ」とただただ困惑。その後、その女性からの直接のお誘いで一度歌舞伎か宝塚を一緒に観にいき、ディナーをごちそうになっただけでなくおこづかいも3万円いただきました。あ、こりゃいい商売だなとも思ったけれどその数日後「マジっぽい」メールを貰ったことで後々、めんどうなことになるだろうなと思い、そのコンパニオン会社の社長に相談後、女性に教えていたフリーメールを廃棄。

※今思うと僕も迂闊だった。

 

 携帯の電話番号は教えていなかったのでその後その女性はどうなったか。また、その派遣コンパニオンの会社もどうなったかわかりません。ただ、いくら口がうまくても性格的に僕はホストにはなれなかったとは思う。