こんにちは。
本日のブログのテーマはラブドール。昔でいう「ダッチワイフ」です。ご存知の人もお世話になった人も多くいると思いますが、具体的に言うとそれは男性の「性の慰み人形。」ギャグ漫画などでネタにも使われる事も多いので、なんとなくその風貌が想像できると思います。
昔、ダッチワイフ。今、ラブドール。
写真はウィキペディアより。
ちなみにダッチ=(英語でオランダ)ですが、この語源は第二次世界大戦中にさかのぼります。ダッチワイフとは本来、通気性のいい竹細工の抱き枕を意味していました。オランダ人船員が熱帯の夜で少しでも涼むために愛用していましたが、イギリス人船員らがソレを見て抱き枕を「ダッチワイフ」と侮蔑したのがこの人形の俗称になったそうな。(諸説あり)。
ラブドールの進化に見る性欲のありかた
現在においてはダッチワイフ=ラブドールの出来も、驚くほど精巧に。メーカーらが美術品として展示会を行うほどになりました。ラブドールの現在について詳しく知りたい人はラブドールメーカーやラブドールの愛好家などに綿密な取材を行って執筆されたルポ「南極1号伝説」の熟読をお勧め。読み応えあります。ちなみにオランダ人船員の抱き枕がダッチワイフのルーツであるという説はこの本で知りました。
※18歳未満は入場できません。
げに驚くべきは性欲のイノベーションとでもいうべきでしょうか。その精巧さゆえ、性欲処理に使えず自宅で飾るユーザーもいるそうです。そういや古代ギリシャにも彫刻家が自ら彫った女性像に恋するうちにその女性像と恋仲になりたいと強く願っていたら美の女神アフロディーテが現れて、その願いを叶えるという「ピュグマリオーン」っていう物語があるけどそれを思わせるエピソードです。その性癖や心理を罵倒する気はありませんけど正直いって「理解できない世界」と考えていました。 だけどこの記事を読み「コレってけっこうセクシャリティの根源的な課題を含んでいるんだな」と認識を改めています。
ダッチワイフ=ラブドールの見る夢を笑えない
東京芸大院生の菅実花さん(27)が卒業・修了作品展で「ラブドールは胎児の夢を見るか?」という題名でラブドールが妊娠した姿を移した妊娠」した姿を収めた写真の展示会を行ったのです。菅さんはこの展示会の意図としてインタビューでこう語っています。以下、インタビュー要約
人工知能を持ったラブドールが妊娠したら、きっと「マタニティー・ヌードを撮りたい」と言うんじゃないか。その発想は女性型のアンドロイドが「将来の夢を教えて」という人間の質問に「30歳までには結婚して子どもを2人持ちたい」と回答した事がきっかけ。みんな笑っていたけど、そのアンドロイドをかわいそうだと感じる自分がいた。倫理的問題を別問題として、科学や代理母などの技術進歩で生殖の外部化が進むなか、以前より人間に近づいているアンドロイドも多くある。その状況を考えると「アンドロイドの妊娠」という発想は浮かびうるものではないか。人間に近づきつつあるアンドロイドに対して人間は被写体の目や肌を加工したり、足を長く、顎を細く見せることもできるプリクラみたいな「人工」に引き寄せられている。プリクラ的に加工される女性の見た目と人間に近づくラブドールはどこか重なる。
※このインタビューの詳細はリンクにある記事をどうぞ。
人間に近づいたアンドロイドの思考は生物の本能としての生殖を欲するのだろうか。生殖という機能をもつ僕ら人間は幸せなのだろうか。それはそれで幸せのきっかけだというのは間違いないだろうけど、その生殖という価値観が人生の否定や足かせになる人だっている。お互い価値観の異なる僕ら人間は共通項みたいな「幸せ」はありえない。共通の回答がない世界で生きていかなきゃいけないシンドさを、僕は心を持たないラブドールの表情に見たのかもしれません。
※心があるから人は悩む。だから苦しい。心がなけりゃ悩みもなく楽だろうが寂しい。