サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

生活保護の不正受給者は人間のクズじゃない!とあえて言う

こんにちは。

 神奈川県小田原市の福祉課職員が生活保護の不正受給について怒りを表すために、自費で「生活保護の不正受給者」をクズであると記述しているジャンパーを作成したとの事。この話題をメディアで知って、僕も怒りがこみ上げてきました。この職員たちのあまりの教養の無さ加減に。

 

 

サブカルを経由させなきゃ語れない言葉の薄さ

その話題の生活保護不正受給のジャンパーの左胸にはこんなデザイン。

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 どこかで見たことあるな?と思った人もいるでしょう。このデザイン、イングランドプレミアリーグだけでなく欧州サッカーでも輝かしい実績と伝統を持つチーム「リバプールFC」のエンブレムのパクリです。

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 さらに背中には英語で「あえて言おう、不正受給はカスであると!」という文章もあるそうで、これまたアニメ「機動戦士ガンダム」の人物、ジオン軍の「ギレン・ザビ」のセリフのパクリ。

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 どれもコレもがパクリ。メディアにある脈絡のない情報を勝手に集めて、編集してそれを自分の言葉であるかのように語る。だけど、今述べた通りその言葉は所詮サブカルのガラクタの寄せ集めのため、こうやって分解してみると空虚で滑稽でさえあります。ってか、もし自分がそこの場にいたら、たとえ生活保護の不正受給を許さないという主張を持っていたとしても、それを世間に伝えるための手段がサブカルなのかよお前ら?とその頭のからっぽさに呆れてものもいえなくなるでしょう。この職員たちって、生活保護の不正受給に怒っておらずその場の空気だけで怒って薄っぺらな正義に酔っているバカなノンポリにしか思えません。生活保護の不正に怒りを持っているクセに、君らはサブカルに頼らなきゃ自分自身の表現でその怒りを言い表せない無教養な人たちなんだね。もっと本でも読みなさいっていうだけの話です。

 

単に弱い者を叩きたいだけ 

 確かに、国民の税金で成り立っている生活保護をずるい方法で手に入れて働かないという人もいるのでしょう。だけどもその数値は、全体でほんのひと握り。どのようなしくみも「穴」というものがあり、そこをくぐり抜けてズルく生きる人はいるもんです。それはもう「社会っていうのはそういうもんなんだ」と割り切る以外にありません。それでも税金の無駄づかいを許せないっていうんなら、僕だったらその怒りを現在の政治に向けます。ひとりあたりせいぜい20〜30万円前後の不正受給より、権力や人脈を使って数千万、数億の単位の税金を使いこの国をメチャクチャにしたり、甘い汁を吸おうと企んでいる権力に「ふざけるなお前ら!」と拳を振り上げる方が合理的だし、よほど建設的でスジが通っています。だけどなぜかみんなそちらに怒りをぶつけないで、権力のない弱い方へ怒りをぶつけて正義ヅラをしている。僕に言わせりゃそれは正義でなく、社会に不満をもっている人の卑屈な弱者への八つ当たりでしかありません。少なくてもそれは僕がカッコいいと思う大人ではない。

 

働くということは、人間の尊厳である 

 あともうひとつ。僕は生活保護の不正受給をクズとは思いません。むしろ哀れみと同情の対象と思っています。健康面や精神面、経済的な面、社会のしくみによる理由などででつまづき、働きたくても働けない人達への保護、サポートを受けている人たちとは別に、働けるだけの力や体力、環境がありながら不正をしている人も少数ながら実際にいるだろうけど僕はたとえそんな不正でお金を貰ったって、ぜんぜん嬉しくない。生活保護の金額のほうが最低賃金よりも高いと文句いう人もいるけど、僕は安くても賃金を貰って働きたい(労働者の低賃金についてはまた別の問題)。働くっていう行為は自分の能力を社会に還元してお金を貰う。つまり自分が積極的に社会にコミットしている事の証であり、働くという行為そのものが「人間の尊厳そのもの」であると思っているからです。事情があって働けない人達はともかく、嘘をついてお金を手にしてラクして喜んでいる人がいたとしたら僕は「社会に自分をコミットさせられないからウソをついて生きていかなきゃいけない哀れな人たちだな」と、人間の尊厳を放棄して生きていることを「ラク」だと履き違えた人たちを哀れみます。それでもって自分については「もしかしたら生活保護の不正受給者は、自分の給料に同じ程度のお金をもらっているかもしれないけど、僕はこの社会で自分の仕事を認めてもらってお金をもらっている。尊厳を持つ人間として、この社会とつながっている。」と、現在の環境に強く感謝します。だから不正受給者をクズとも思わない。軽蔑もしない。そんな人を妬んだら僕の負け。

それが社会人の矜持ってやつだろ?

 少なくても俺のプライドはごく少数の不正を糾弾して、正義ヅラして満たせるほど安っぽくない。そして自分の持っている価値観を疑おうともせずに「正義」などといえるほどバカな人間でもない。そんな無教養な公務員の語る「正義」が英国BBCで大々的に報道されるというトホホな結果になっちゃってた。

 

行政の弱い者叩きを報道した海外メディア

www.bbc.com

以下、意訳

 日本の神奈川県小田原市の福祉課職員が生活保護の不正受給に対して、攻撃的なメッセージをデザインしたジャケットを所有していたことが明らかになった。正面には「悪」をデザインした紋章があり、背中などにこのようなメッセージもあった。

「保護なめんな」

「あえていおう、不正受給をしようとする人間はカスである」

 朝日新聞は「小田原市で職員が「家庭訪問中にジャケットを着ていた」ことを伝えている。このジャンパーは関係者によると、2007年に生活保護の受給をめぐって職員が申請者の男性に襲われたことをきっかけに「士気を高めることを意図して作られたものである」と語り、28人の職員によって現在でも所有されていると述べられている。小田原市は7人の職員を懲戒処分。加藤健一市長は「不適切な表現だった」と謝罪した。

 なんていうか、現実(リアリズム)をなんでもサブカルに置き換えて考えているバカがこうやってこの国の品位を下げていくっていう見本だな。

 

追記:以下リンクのこの漫画、ドラマになったそうな。

gendai.ismedia.jp

 

 

 

 

 ※IT業界に転身後、リーマン・ショックのため仕事が来なくなり、月に5〜6万のバイトで暮らしていた時期もあったけど、つらいのはお金がない事じゃなく、仕事がないことで社会と自分のつながりが途切れたように感じたことでした。普段「働きたくねー」などとふざけて言ってるけど働けないってツライこと。マジで。