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映画「キラキラ☆プリキュアアラモード」の感想。おっさんが観たっておもしろい!

こんにちは。

 

 先日の話になりますけど映画館で劇場版の「キラキラ☆プリキュアアラモード」を妻、娘と一緒に観てきました。

 

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プリキュアアラモード=スイーツ+動物 

 プリキュアっていうのは小さなマスコットみたいな妖精から変身できる能力を与えられた女の子たちが力を合わせ、世間を混乱させる怪物たちと戦う形式のアニメで、今年でもう14年にもなる人気作品。主役も代替わりしており、今回は12代目。変身のモチーフも最初は戦隊ヒーローの「秘密戦隊ゴレンジャー」みたく「ブラック」「ホワイト」など、色のみのシンプルなものからそれに「花」、「音楽」、「お姫様」、「魔法使い」などの女の子ならではの要素を加えバリエーションも豊富になっていき、現在のプリキュアアラモードは「スイーツ」と「動物」が変身後の姿のモチーフになっています。

 

①ショートケーキ+ウサギ+ピンク=キュアホイップ

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②プリン+リス+イエロー =キュアカスタード

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③アイス+ライオン+ブルー =キュアジェラート

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④マカロン+ネコ+パープル =キュアマカロン

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⑤チョコレート+イヌ+レッド=キュアショコラ

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⑥パフェ+ペガサス+グリーン=キュアパルフェ

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 どんな作品かは上記の公式映像をご覧いただければ分かるかなと思います。

 

プリキュアをおっさんが観たっていいだろ!

 さて本題。10月28日公開となったこの作品、なんと初日と2日目だけで17万人を動員、興行収入も1億9000万円を記録する大ヒット。こどもだけでなく「お付き合い」のつもりでこのアニメをご覧になる保護者も楽しめる内容になっていました。僕の場合、お付き合いのつもりが気づいたら本気でこの作品を観ていたっていう感じなんだけども。ってか、おっさんの自分もこの映画めっさ楽しかった。理屈抜きにおもしろい。

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 物語についての詳細は映画を見に行く方もいらっしゃると思うので書きません。ただ、この作品で共感できたキャラクターの「ジャン=ピエール・ジルベルスタイン(左のおっさん)」について今回は書きます。

   

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 80年代オタクの美学を見たプリキュアの物語

 このジャン=ピエールというおっさんは世界的に若手の天才として知られるキュアパルフェこと「キラ星シエル」がパリでの修行時代にお世話になった師匠。ただ自分のお店は持たず、自宅にこもり続けて理想のスイーツを追い求めるあまりに、家賃の支払いにも窮する貧乏生活を強いられています。そんなジャンの高い実力を惜しんで支援を申し出る人がいるのにも関わらず、当の本人はそんな話にも全く興味を示さずにただ一人、厨房にこもってメニュー作りに励み続けるのみ!という極めてストイックな人物。ご想像どおり、この物語のカギを握る男でもあります。

 

 それでね。僕はこのジャン=ピエールというキャラクターに「80年代〜90年代のオタク」の姿を見たんですよ。現在みたいな自称オタクのはびこっている時代じゃなく、「他人なんて知ったこっちゃねぇよ!俺が俺の好きなもんを追い求めているだけだ!」っていうストイックさを持ち、他人に理解されないどころか周囲の人に気持ち悪がられることも多かった、あの時代のオタクです。

 

 今でこそ「オタク」って単語を気軽に使っているけれども、冗談じゃありません。オタクってそんな甘いもんじゃないのよ。上述したとおり、オタクなんて本来、周囲の人に叩かれても文句言えない立場にありました。それでも自分の中にある「好き」を捨てなかった強者、ニーチェ言うところの「能動的なニヒリスト」こそ真のオタクだった。信じるものはあくまで自らの価値観。他人に同意なんて求めない。そんな人たちが社会で上手くやっていくため趣味を隠したりなどして、現実の世界と自分の世界の折り合いをつけながら戦っていたのです。その集団の中から突き抜けた人たちが集って作品を作ったり論評を書いたりして、気づいたらそれらが注目を集めていき、現在のサブカルの土台になっていったというのがこの30年前後のサブカルの光景であり、その様を僕も見てきました。あの時代を知っている自分からすると、クールジャパンなどという単語にのっかり、自らの趣味を世間に認めさせたいとする現在の自称オタクのぬるさがキライ。自分の好きなものを正当化するために「世間の認知度」に縋ろうという弱さが情けなくてイヤ。ハッキリいって政治、経済、文化にサブカル的な価値観のない交ぜになっている、だらしないこの国の空気そのものが不気味で仕方ありません。

 

 そういやガンダムの富野監督が続編の「Zガンダム」制作発表会見でたかがアニメ、サブカルでしかない自分の作品にいい年こいた大人や社会が群がっているのにイラ立って「うつになるのでお前ら、アニメを見るの辞めろ!オタクどもを全員殴ってやる!」という発言をして怒鳴ったこともあったそうですが、たぶん富野監督の苛立ちは現在の「自称オタク」どもには届いていないだろうなとも思う。知ったこっちゃないけど。

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 この記事の写真にあるようなコスプレだって昔は、人におおっぴらにいえるもんじゃありませんでした。そういえば高校時代にコスプレを趣味とする女子が僕の隣の席に座っており、その子がある日、意を決して自らのコスプレ写真を見せてくれた事がありました。確かドラクエⅣのアリーナだったかな。で、「AMはこういうのどう思う?」と聞いてきたので「コスプレをやったことはないけど、アニメージュアニメディアとかで知ってる。別にヘンとは思わない」と答えたら、その子は安堵の表情を見せました。そして「AMだったらそういってくれると思った。あんたは私たちと同じような匂いがする」とかいわれたことから「オタクの嗅覚ってすげーなー」と強く感心させられたもんです。

 

 自分の趣味を人に伝えたくてもオタクってバレたらどうしよう。という葛藤を抱えたうえでの彼女のカミングアウト。その彼女の姿がある意味で自分にとってオタクの原風景なんですけど、それを考えるとコスプレ姿を自撮りしてインスタにあげたり、「いいね!」をもらえたりする時代ってほんとに恵まれていると僕は思う。

 

  この先も僕は「大きなお友だち」としてウルトラマン仮面ライダー、その他サブカルを愛するでしょう。そんでもって周りの人から「いい年こいた大人がみっともない」と嘲笑されるでしょう。だけどそれは正しい。まったくもって正しい。本来アニメも、マンガも特撮もゲームも子どものもの。それを僕らがただ手放せないだけ。常識で考えたらそんな大人ってみっともないし、笑われて当たり前。だけども僕はそれでいい。僕もまたそれらを手放せずに40歳を越えて、そんな自分の幼稚さはすごく理解している。それをクール・ジャパンとかジャパニメーションだとかの「日本の新たな文化」とでもいいたげな形容詞で逃げるつもりも僕はありません。それは80年代のオタク、その周囲の空気を知る自分なりの作法といえるかもしれません。