サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

たったひとりで戦争を戦ったお父さん「金子徳好」について語る

こんにちは。

 本日は父の日。全国のお父さんは家族のみんなに感謝されました?

 

 世間的には父の日って「お父さんありがとう!」っていうフレーズの飛び交う日なんだろうけれども僕の場合、日常を振り返ってみると妻や娘からの「ありがとう」というメッセージを貰えるほど頑張っているのかな?とつい考えこむこともあったりします。原則的に僕は妻と娘の「コンシェルジュ」でありたいと思っているけども、なかなかその理想を現実にするのも難しいもんです。

 

 さて。本日のテーマは父の日っていうことなので「サブカル界のお父さん」について。とりあえず現在のサブカル界でお父さんとして話題になっているのはウルトラマンタロウでしょうかね。

 

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 来月7日からON AIRとなるウルトラマンタイガはウルトラマンタロウの息子。ここ数年のウルトラマンは「ニュージェネレーション」という呼び名を冠しており、セブンやベリアル(厳密にいうとベリアルは昭和でもないか)など昭和のウルトラマンの世界観で活躍したキャラクターの息子たちが物語の主人公を務める傾向にあります。まぁ俗にいう「世代交代」っていうやつなのでしょう。そして今回はタロウの「タイガ」とその他のウルトラマンが新たな物語を紡いでいくことになります。

 

 子どもの頃に現役のヒーローだったセブンやタロウが親になり、次世代にウルトラマンの歴史を繋いでいくのはちょっぴり淋しさもありますけど、嘗て子どもだった僕らの愛したウルトラマンを現在の子どもがまた愛してくれるっていうのも嬉しいもんです。

 

あー、だけどウルトラの父は「おじいちゃん」になるな。

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©円谷プロダクション 

 

 

 まぁウルトラマンタイガについてはまた放映を見て思うことを書き連ねていくとしてそろそろブログの本題。この父の日だからこそ、たったひとりで戦争を戦った「金子徳好」さんという人物について本日は語ります。この記事もまだ読者がそんなにいなかった頃書いているんだけど、今回どうしてもまた語りたかったのでリライト。

 

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 この金子さんという人物。昭和40年代にたった一人でベトナム戦争を相手に戦った偉大なお父さんなんです。金子さんは団体職員として勤務していたある日、同僚との飲み会でベトナム戦争について議論。戦争を巡っての意見はだんだん熱を帯びていき、金子さんはお酒の勢いもあってか「アメリカのベトナム侵攻に反対の意思を示すぞ!!」と、声高らかにベトナム戦争反対を宣言。その場にいた同僚もいいぞ!と盛り上がったものの自宅に電車で帰宅中「とんでもないことをいってしまった。」とひどく後悔するハメに。自分の発言は酒の席でのものであって、実際にやるわけにいかない。と考えた金子さんは「会社の同僚と語り、ベトナム戦争アメリカについての抗議を記したゼッケンを胸につけて仕事することになった。君は僕を止めてくれるな!!」と、奥さんに相談。そんな提案をしたらきっと妻は自分の意見に大反対するはずだ。妻の反対を理由にアメリカへの抗議活動をやめたという話なら、みんなもきっと納得するだろうと思っていたら奥さんもまたベトナム戦争否定派だったため金子さんの話に大反対どころか大賛成。奥さんは張り切ってゼッケンを作り、数日後の朝には出来上がったゼッケンを渡して「お父さん、がんばって!」といって笑顔で金子さんを見送ったそうな。奥さんに止めて欲しかったのに図らずもダチョウ倶楽部の「ゼッタイに押すなよ!」的な前フリをすることになった金子さんは「これでもう後には引けないぞ」と腹をくくってゼッケンを身につけ職場へ。通勤途中も職場でも奇異の目で見られながらも、たったひとりで孤独なベトナム戦争との戦いを始めたのでした。今で言えばこのロゴをあしらったシャツを着て仕事にいくような感じなんでしょうか?

 

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 最初はもう、すぐにでも辞めたいと思っていた金子さん。だけどそんな金子さん本人の思いも知らず周囲はその行為について拍手喝采。新聞やTVのニュースで話題を知った人からの激励や寄付などが集まるようになっていき、世論は本人を差し置いて金子さんの行動に賛否両論の議論を巻き起こします。やがて金子さんの行為が現地ベトナムにも伝わり、金子さんはベトナムで英雄扱いを受けることに。胸に着けているゼッケンとベトナムのVIPとの写真は現地の博物館に展示されることになり、金子さんは国民的なヒーローとして尊敬の眼差しを受けるようになります。

 

 

 結局、ベトナム戦争終結まで金子さんはゼッケンをつけ続けることに。その年月は実に8年。何度も辞めたいと思ってもゼッケンによるたったひとりの反戦活動を続けたのは、妻や自分を応援してくれている周囲の励ましを裏切るわけにもいくまいという誠実さ。そして何よりもと戦争という行為を許せないという、強い想いだったんじゃないかと僕は思う。そしてその想いを捨てずに戦いを続けた金子さんは真に強い人だったんだろうと僕は思っています。

…ん?この話題とサブカルを結びつけるのはちょっと強引だろう?っていやいや、この金子さんはサブカルとの関係大アリです。金子徳好さんって90年代に作成された「映画のガメラ」でおなじみの金子修介監督のお父さんなんですよ。この他、金子監督の弟であり脚本家でもある金子次郎さんもご自身のブログでお父さんについて言及されていました。

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 親父だったら今の日本を見て何と言うだろう。と呟かれていたのが印象的でした。僕もそう思う。