サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

ウルトラマンジードを「父と子」ではなく「母と子」の視点で考えた感想

こんにちは。

 本日で最後となったウルトラマンジードの放映。いやぁ、面白かったっすね。

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m-78.jp

 

 名前の「ジード(GEED)」の由来は物語の主人公、朝倉リクの口ぐせである「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」というアクティブで前向きな叫びを略したとされているけれど、もう1つの由来は英語で遺伝子を意味する「Gene(ジーン)」、運命を意味する「Destiny(ディスティニー)」のつづりの頭文字「Ge」と「De」を「GEDE(遺伝子の運命)」と並べ、運命に抗うことを意味させるため「ED」をひっくり返した造語だと本編でも語っていました。その名の示すとおり、この朝倉リクという青年はウルトラの力を持ちながらも自ら力を求めて悪に染まった「ウルトラマンベリアル」の息子という、今までとは異なる出目をもっているのが大きな特長。それだけに物語は「悪」である父親と、その対極にある「息子」の対立っていう視点で進められていきますが、ストーリーを追っているうちに、これは「父子」ではなくて、実は「母子」の物語じゃないか?と僕は思うようになりました。

 物語はウルトラマンベリアル(写真1)が、宇宙そのものを破壊する「クライシスインパクト」というビッグバンみたいな現象を発生させて世界を崩壊させるのを、ウルトラ一族の伝説の長老「ウルトラマンキング(写真2)」がその身を挺して食い止め、宇宙の危機を救ってから6年後の世界が舞台。孤児として育ちながらも優しく明るい性格の青年「リク」は地球の怪獣出現をきっかけに、自分がベリアルの息子だったことを、ベリアルがリクのために用意していた秘密基地のコンピューター「レム」によって知らされます。そして人々を守るため、怪獣に挑む決意を固めたリクにレムはウルトラマンに変身する力を授与。変身後のコードネームを問われたリクは自らを「ウルトラマンジード」と名乗り、怪獣と闘いながら自らと父親のベリアルの秘密を追うというミステリーの要素も含んだものになっています。

 

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ウルトラマンベリアル(写真1)

 

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ウルトラマンキング(写真2)

 

 さて、ここから本題。このベリアルの息子とされる「リク」という青年。彼を生み出したのはベリアルに心酔する宇宙人「ストルム星人」ケイという男性。ケイはベリアルの遺伝子を材料に、ベリアルの道具となるような人間によく似た人口の生命体「リク」を作って地球に放った、産みの母。その後、リクは捨て子として拾われて人間として育てられます。つまりこの時点でリクは実の父と母にネグレクト(育児放棄)を受けていることになることから物語の根幹にあるのは「両親への復讐」。その復讐を果たすための力を与えたのはウルトラマンとしてのリクの育ての母」であるレムであると考えることもできるのです(物語でレムの声が女性だったのも、その辺を意識しているのかも)。

 

 ウルトラマンとなったリクは戦いや人々の出会い、「生みの母親」であるケイとの直接対決を通じて強くなっていき、物語のクライマックスで「父」ベリアルと対峙。父ベリアルは圧倒的な力(父性)をもって息子のジードを抑えつけ、ベリアルの体へと取り込みを目論む。つまりウルトラマンの力を奪うことで「育ての母」のレムと引き剥がされることになります。

 

 そして、そこで次に注目してみたいのはそのリクの危機を救った「鳥羽ライハ」という女性。ライハはケイにより両親を奪われたという過去を背負っていることから、リクとは常に行動を共にしていました。物語が進むうちにライハも自身の出生の秘密を知ることになります。その秘密とは「ウルトラマンキング」との関係。誕生の際、難産の危機に晒されていた幼いライハはウルトラマンキングによって生命を救われていたのでした。その影響でライハの身体にはウルトラマンキングの力が宿っており、ライハはそのキングの力をリクに譲渡。その力でリクはウルトラマンとしてさらに強く生まれ変わることになります。つまりそれはライハもまた「ウルトラマンとしてのリクの育ての母」になったことを意味する。そういえばライハも先述したレムも秘密基地に私物を持ち込んで散らかしたり、狭い基地で野球をやったりなどするリクの幼さやだらしなさを口うるさく注意する場面も多くありました。そういう描写も「母親」を意識してのものだったのかもしれません。 

 

 このことから「ウルトラマンジード」という物語の本質は「二人の育ての母親からもらった力による実父と実母との軋轢とそれによる葛藤の克服」だったんではないだろうかと僕は考えます。ベリアルとの直接の戦いでリクが「倒す」という言葉を使わずに「僕はあなたを超える!」」と叫んだのもこの作品のテーマが父子対立ではなく「エディプス・コンプレックスを抱えた青年の父親超え」であり、だったということの証左なのでしょう。

 

エディプスコンプレックス - Wikipedia

 

 この「父性」と「母性」という概念こそが日本のマンガやアニメなどのサブカルにおいて大きな影響を与えているものであり、今後この国がサブカル表現がそれらをどう克服していくべきかというのが大きな課題なんだけども、そうなったら話も長くなるのでその話はまたあらためて、別の機会で!その際はぜひ、どうかまたお付き合い下さい!本日はこの辺で。

 

 

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