サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

TM NETWORKとその曲はもっと評価されるべき -CAROL-

こんにちは。

 この間NHKTM NETWORKに関する番組が放映されていた事を知りました。


TM NETWORK『CAROL』制作秘話に迫るNHK番組、

マスターテープをもとにメンバーが語る - musicニュース : CINRA.NET

 

うわぁ観たかった!

 TM NETWORKTMNではなく)辻仁成のECHOESと同じく、僕の中学時代を思い起こさせる音楽ユニットです。その中でも上記「CAROL」は屈指の名盤でした。全13曲から構成されるこのアルバムはミュージカルを思わせるつくりになっているのが特徴で、曲の舞台は1991年の英国。キャロル・ミュー・ダグラスという高校生の少女がラジオで「Gaball Screen」の曲を聴いて以来、世界各地で「音」が消えていくという不思議な現象が起きている事に気づきます。
 キャロルはそのGaball Screen」の曲に導かれて、童話の不思議の国のアリスのように魔法や怪物が闊歩するファンタジックな世界に迷い込み、ティコ(木根尚登)、フラッシュ(宇都宮隆)、クラーク(小室哲哉)と力を合わせて世界から音を奪う魔王たちと闘う。この物語を全部楽曲で表現した独特なアルバムでした。CAROLの曲を中心とするLIVE「CAROL TOUR」もTMの歌とキャロルのミュージックを合わせた構成になっており、物語と音楽の融合を目指した小室哲哉のこだわりが感じられます。ちなみに、「TMN」になった頃の曲は僕の中では評価が低くなっています。TM NETWORKはアルバム「HUMAN SYSTEM」からこの「CAROL」までの時期が僕にとって黄金期でした。あくまでも独断と偏見だけども。

 

 さて、このTM NETWORKの活動時期は1984年~1994年。「SPEED WAY」というロックバンドで活動を行っていたけどあんまり売れなかったため、小室哲哉宇都宮隆木根尚登の三人が今までのものとは異なる、斬新で独創的な音楽を追求するために始めたユニットでした。その後、3人は楽器メーカー「ヤマハ」主催のアマチュアバンド大会「フレッシュサウンズコンテスト」でグランプリ受賞。デビュー後にアルバムを数枚リリースしたものの評価はぱっとしないイマイチなものでしたが「Get wild」のヒットにより全国的なブレイクを果たします。

 
 僕の初めて見たTM NETWORKはザ・ベストテン。ランク外だけど注目株のアーティストを紹介するコーナー「スポットライト」だったと記憶しています。そこでTMは最先端の楽器を使い、たったの3人ながらハイテクの音楽機材を駆使して10人分の演奏が出来るバンドと紹介されており、番組で「Get wild」を演奏。そのカッコイイ音楽は当時の僕にとって衝撃でした。この曲はアニメ「CITY HUNTER」のエンディングにも採用。アニメのラスト場面からイントロが流れてゆっくりスタッフ画面に変わっていく演出は今見ても鳥肌モノなので、ぜひ読者の方にもネットで探してみて欲しいです。

 

 さてこのTM NETWORK。名前の由来はユニット結成前後のエピソードを木根さんがつづった「電気じかけの預言者たち」(94年発行)によるとTimeMachineNetwork(タイムマシンネットワーク)。近未来の音楽を引っさげ、やってきた三人組というコンセプトで結成されたためと知られていますが、これは後付けの話。本当はメンバー全員の出身地だった立川、国立など東京都多摩(TAMA)のTMであり、東京の多摩から発信するNETWORKという意味だったのはファン以外には意外と知られていません。多摩を心底愛する僕はこのエピソードに狂喜しました。めちゃくちゃ、地域密着型の音楽ユニットだったんですよTM NETWORKって。

   上記のTM NETWORKの自伝ともいえる本には、ユニークな話題として小室哲哉の変人伝説も掲載。すごいのはアマチュア時代。ライブの真っ最中でウツが歌い、木根が演奏している最中に「悪いんだけども、親戚の結婚式でウェディングマーチを弾かなきゃいけないんで帰らなきゃ」といっていきなりシンセサイザーを片付け、唖然とする仲間を気にかけることもなく舞台の袖にひっこんだエピソード。さらには常識を超えた「遅刻グセ」についても言及。メンバー全員でスタジオを借りてリハーサルを行おうという約束の日。いつもながら小室だけが来ない。いつものことと思いながら待っていると、リハーサルを始める時間ギリギリになって小室から電話。「遅くなりそう」という話を聴いたメンバーたちは呆れながら、小室に今どの辺にいるのかを尋ねます。小室は普通のことのように「今、札幌にいる」と、回答。「ウソだろ!!」と驚くメンバーに「今から飛行機に乗るから」とのんきに答えた小室に対してボーカルの宇都宮隆「やっぱり小室哲哉はグレートだ」と思ったそうな。

 

 また、このユニットは積極的に多くのメディアとタイアップ。多方面でメディアミックスを行っていたのも大きな特徴です。その中でもイロモノなアイテムがアニメ版「CAROL」とファミコンソフト。

※内容については以下のブログ参照。丁寧なレビューに、感動しました。


TM NETWORK 「CAROL」アニメ版:a Black Leaf (BLACK徒然草)

 

 中学生だった頃に購読していた学研のアニメ雑誌アニメディア」によるとキャラクターデザインは「アーシアン」という作品で有名な高河ゆん。この作品はTM NETWORKのファンイベントのために作られたものだったようですが、後にビデオで発売。本気で買おうと思っていたけど、この作品をみた同級生から「主役の声が宇都宮隆セリフが全部棒読み」だったためおもしろくなかった。との話だったのでやめた記憶があります。

 

次。

TM NETWORKファミコンソフト。

 

 ※このゲームの内容については、以下のブログを参照。遊びたくなってきたな。

TM NETWORK ライブインパワーボウル 〜TM NETWORKのゲームレビュー〜

 

 物語は1999年の日本。1989年にSDI計画(この辺が80年代だね)の一端で打ち上げられた衛星が暴走して世界各地にレーザー兵器を照射。その爆発の衝撃により10年前の1989年にタイムスリップした主人公がTM NETWORKの協力を得て衛星の暴走を止めるというアドベンチャーゲームなんだけど、なんでTMの力を借りなきゃいけないんだろう?という野暮なツッコミはしないでやって下さい。
 

 このゲームはTM好きの妹が買ったものの、上記ブログにあるとおりその難易度の高さに音を上げたため、僕もゲームに参入。二人であーでもないこーでもないといいながら、クリアした思い出深い作品です。当時はインターネットもなかっただけでなく、ゲーム自体がひどくマイナーなのでファミコン攻略雑誌などでも特集が組まれないため、ゲームクリアに必要な情報がない。そういうキツい環境だったのでクリアした時の達成感は相当なものでした。クソゲーだけど楽しめたというゲームですな。

 

 

 

 そんでもってこの話題は極めつけ。数百曲を超える作曲、編曲を手掛けてきた小室哲哉ですが、TMとして活動する前にはこんな珍作もあるのを皆さんご存知でしょうか。

    

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Rockin'on the 月光仮面

 小室哲哉による「月光仮面のテーマ」のアレンジ版です。月光仮面っていうのは僕の両親の世代がテレビに釘付けになった特撮ヒーローの番組。僕ら世代は懐かしのテレビ特集や写真などで姿を見たことがある人も多いでしょう。現在20代の人はこのヒーローの姿どころか月光仮面の名前さえ知らないかも。

 

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以下のサイトより引用

middle-edge.jp

月光仮面 - Wikipedia

 

 こっち原曲の月光仮面のテーマ

www.youtube.com

 

こっち小室編曲版

www.youtube.com


 両曲を聴き比べると、原曲をここまで変えるか?という違いっぷりに驚き。ちなみに僕は原曲の方がヒーローの悲哀が漂っていて好きなんだけど。この曲の編曲を小室が手掛けたのは宇都宮隆木根尚登小室哲哉TM NETWORKTMN)としての活動を始める前に3人が活動していたバンド「SPEEDWAY」の時代。当時、SPEEDWAYが2枚目のアルバムをリリースする条件として月光仮面の著作者「川内康範」の作詞作曲でシングル曲を作ることを提示されたため、乗り気でないながらも承諾したことがきっかけでした。その頃の生々しい証言がTM NETWORKの自伝「電気じかけの預言者たち)」で触れられています。

 

以下「電気じかけの予言者たち」 木根尚登 著から引用

 

 "その作家との打ち合わせには、バンドを代表して小室が行った。そこには「おじいさん」といってもおかしくない作家と、若い秘書のような男がいた。老作家は「二曲あるので、まず聞かせてあげよう」と言った。

 曲名は「ジーパンはいた赤とんぼ」

 そう聞いた瞬間、小室は目眩がしたという。

(中略)

 その曲を持って僕の部屋に来たときの彼の顔は、いまだに忘れられない。

木根 「帰ってきた小室の第一声が『最低!』だったからな。俺も聞かせてもらって驚いたもん」

宇都宮「それを歌ったのは僕だよ」

木根 「ひと晩中、いじくりまわしたもんな。コードを変えたり、メロディーを書き直したり、イントロと間奏しか印象に残らないようにしてみたり・・・」"

 補足をさせてもらうと、この「ジーパンはいた赤とんぼ」はボツにして、2曲目の「山あり谷あり」という曲のアレンジを選択。ただその曲もジーパンはいた赤とんぼと五十歩百歩の出来で、それでも「こっちの方がまだマシ」という苦渋の決断だったそうな。そんな経緯で小室は川内康範とコネができたことから月光仮面のテーマソング編曲を手がけたのでした。

 

 この月光仮面のアレンジはCMタイアップ曲として企画されたものであり、実をいうとそのCMを僕も3~5歳ごろ見た記憶があります。たぶん、そのCMの対象商品は月光仮面の番組スポンサーだった武田食品工業の「プラッシー」。お米屋さんなどで購入できるオレンジジュースでした。

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 宇都宮隆のボーカルに合わせて月光仮面がショッカーの戦闘員みたいなザコ敵を投げ飛ばしていた映像の中にある「プラッシー」のロゴが印象的でした。その記憶が曖昧なので調べてみたところ、小室編曲版月光仮面のテーマを使ったCM映像はありませんでしたが月光仮面プラッシーのイメージキャラに使われていたのは、ほぼ間違いありません。

 

www.youtube.com

 

 現在プラッシーは販売元が武田食品工業からハウスウェルネスフーズに変更になったとのこと。そこでハウスウェルネスフーズのお客様センターに電話で問い合わせてみました。お客様相談センターは問い合わせからクレームまでを引き受ける、まさに電話接客のプロ。その担当者に「御社で販売されているプラッシーの古いCMの情報を探しています。昭和53~55年頃に月光仮面を起用したCMで、そのCM曲を手掛けたのは小室哲哉の筈なんですけど」と尋ねてみたところ、その接客のプロも「へぇ?」と小さな声を上げ軽く驚いていました。

 

 問い合わせた結果、そこまで古い情報は同社にも残っていないとのこと。その後も気になってネットなどで調べてみたら「Rockin'on the月光仮面」はプラッシーのCMソングに使われていたという証言はあったけど、その映像はありませんでした。ってなことで今回の調査はここまで。このブログを読んで、この月光仮面のCMについて知っている、またはそのCMのビデオを持っているという方などがいましたら、ぜひ情報をお寄せ下さい。

 

追記:その小室哲哉週刊文春のスクープによって、引退。

 

dot.asahi.com

 

 週刊文春での不倫疑惑を機に、自らのけじめとして自発的な音楽活動を引退。文春にも小室にも思うところはたくさんあるんだけど、この話題を知って脳裏に浮かんできたものは作曲家として彼の作ってきた多くの曲でした。アニメのシティーハンターでエンディング曲に使われた「Get Wild」、映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のテーマソングにもなった「Beyond the time」三銃士のアラミスを女装の麗人にして人気を博したNHKの「アニメ三銃士」イメージソング、「星屑のイノセンス」などなど。どの曲もイントロやサビを聞けば、その当時の光景がさっと目の前に現れてくる。それらはある意味、「10代だった頃の自分のBGM」ともいえるものばかりです。

 僕が小室哲哉という存在を知ったのは小学生の頃。TBSの音楽番組「ザ・ベストテン」で注目株のミュージシャンを生放送で紹介するコーナー「スポットライト」だったかと思います。もっともその頃は「小室哲哉」というより「TM NETWORK」という音楽ユニットのメンバーという認識だったけれど。TM NETWORKはそのコーナーで最先端の楽器を使い、たった3人ながらハイテクの音楽機材を駆使して10人分の演奏が出来るバンドと紹介された後、「Get Wild」を演奏。今まで聞いたことなかったようなかっこ良く、そしてどことなく繊細なメロディに大掛かりな機材。どれもこれもスタイリッシュ衝撃を受けました。

 

 その後、中学生になった僕はいとこにTMのアルバム「CAROL」をダビングしたテープをもらったことで頻繁にTMの曲を聞くようになっていき、妹も僕の影響を受けてTMにドハマり。妹はTMのアルバムを全部揃えるだけでなくソロアルバムや小室哲哉が音楽制作を手がけたミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」音楽集などお金の許す限り購入。兄貴の僕も驚くほどの小室オタクに成長。それだけ「テっちゃん」の作る繊細でカッコいいメロディと作詞家、小室みつ子の綴るジュブナイルみたいな歌詞に僕らはすっかり虜だったのです。

 

 ただ、僕はそのTM NETWORKが「TMN」に名称を変えた辺りから音楽性にも変化を感じたのと、その前後に友人から辻仁成の「ECHOES」のテープを借りたことをきっかけにメッセージ性の強い辻に傾倒するようになったこともあってTMNとは距離を少しだけ置くようになり、TMの活動の終了後は小室への興味も失せていきました。90年代に楽曲プロデューサーになった小室は映画「ストリートファイターⅡ」挿入歌「愛しさと切なさと心強さと(唄:篠原涼子)」でダブルミリオンセラーを記録後、「trf」や「dos」のダンス楽曲や本格的な海外進出を狙った企画「EURO GROOVE」、ダウンタウン浜田とのユニット「H jungle with t」、自らの男女混合ユニット「globe」ほか「hitomi」、「華原朋美」「安室奈美恵」などのアイドル楽曲提供など次々に曲を量産。小室作曲の歌を聞かない日はないほどの人気でした。中には「あ、この曲いい」と思わせるものもあったけど僕にとってほとんどの小室サウンドは同じリズムとよく似たメロディ、歌詞を組み合わせて再生産を繰り返している「ただ、消費されるだけの曲」であって、TM NETWORK時代の頃とかけ離れた、うるさいリズムだけになった曲はもはや僕の興味の範疇外だったのです。

 

 その後、同じことを感じる人も増えてきたのか世間的には「モーニング娘。」プロデューサーのつんく♂や「PUFFY」のデビュー曲を手がけた奥田民生へだんだん人気もシフト。97〜98年以降には過去の人扱い。PVで踊るモーニング娘。の映像を横目に「もう小室哲哉は古いよね」という声も多くなり、僕の中からも小室の記憶はほぼ消去。そんなある日、メディアで報じられた「小室哲哉 詐欺罪で逮捕」という話題。散財などで経済的に苦しくなった小室が曲の著作権譲渡を巡り、詐欺に手を染めたため、刑事告訴を受けて逮捕となったという事件にも失望はありませんでした。慢心によって多くのファンを裏切った男なんてどうだっていい。とはいってみてもその日はyoutubeで若き日のTM NETWORKのライブ映像を見まくっていましたけれどもね。

 

 そんな多くの紆余曲折を経て音楽活動を再開させたかと思いきや、いきなりの自発的な音楽活動引退の記者会見。数々の女性遍歴や過去の行いなどを考えりゃ「身から出た錆」という思いもある。妻KEIKOの看病や介護などを通じて「妻を愛しく思う」という呟きに共感もある。また、夫婦コミュニケーションが困難になってきている妻との関係に疲れたこともあり、別の大人の女性に甘えたくなったという心境、心の弱さを吐露する言葉の前には何もいえなくなる。男女の関係があったかどうかは分からない。だけど、たとえあったとて誰もそれを責められません。今回の会見は本当に複雑な想いにさせられました。

 

 今後、小室哲哉とその作品がどうなっていくかはわかりませんけれど、僕はこの先も小室の曲を聞いてそれらを口ずさみ続けると思います。そしてやっぱり僕は小室哲哉の曲が大好きだったんだよなぁと呟き続けることでしょう。

 

僕の10代は小室哲哉の作った音楽と共にあった。そのことに深い感謝、敬意を込めて。

 

 

 

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※この曲を使ったCM映像はTMと小室の歴史を語るうえで貴重な資料になるだろうな。この記事をぜひ、多くの人に読んでもらいたい

 

 

ファミコンあったらまたちょっと遊んでみたい、このゲーム

 

 

 ※楽曲だけでなく上記ライブの映像やインストゥルメンタル盤も加えた豪華版。皆さんもCAROLの世界をぜひ味わって下さい。