サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

日本の人材不足のひどさを露呈した自衛隊のポスターについて

こんにちは。

 

 記録的な猛暑続きで疲労困憊な今日この頃。人手不足のため業務が滞りがちで、毎日ヒーヒーいいながらも働いております。人手不足といえば先日、職場最寄り駅でたまたまこんなフレーズを使った自衛隊員募集のポスターを発見。

 

 

「成長できる舞台」

 

 そりゃ仕事っていうのは人間の成長を促す機会なのは間違いないけど、自衛隊って個人の成長を目的に就くものか?という違和感を僕は抱きました。「成長できる舞台」。僕が学生だった頃のブラック企業の求人広告を見ているみたいです。

 

 以前の自衛隊募集ポスターって戦闘機やその他の兵器と表情の険しい隊員が写って、その上に力強く「隊員募集!」とプリントされているデザインが多かったと記憶していましたが、試しにgoogleで「自衛隊募集 昭和 ポスター」と検索をかけたらだいたい記憶どおりの隊員募集のポスターがザクザク。この昭和を「平成」に変更したら、今度は「萌え文法」に沿った女の子をたくさん使ったデザインの隊員募集ポスターで溢れていました。この経緯を見ると昭和~平成にかけて自衛隊になろうという若者が減っており、人材難だと多くのメディアで報道されたとおり、人手不足を少しでも解消できたらという想いで萌えに頼っていたことが分かります。その効果があったかは疑問ですが。

 

 これらのポスターをざっと見ていて気付いたのはデザインに大きな変化はあるものの
強く訴えているのは「国や人を守る人材を求めている!」というメッセージ。そりゃそうだ。国防を担う組織の募集なんだから。だけど、このポスターでは、どこにも『守る』という自衛隊本来の目的を訴えていません。大きな文字で書かれているのは『個人の成長にうってつけ!』というフレーズ。どんな仕事か想像できるフレーズを述べず『成長』を訴えるのはそのまんまブラック企業の社員募集そのもの。詐欺だと言っていいかもしれない。そんな手口にひっかかる奴なんているのか?と思いつつ、その姑息なやり方にイラっとさせられます。

 

「国防」という組織のアイデンティティーを表に出さないポスターには「組織としてのプライドはないのか!」といいたくもなりますが、プライドを捨ててまでも人材が欲しいならそんな詐欺まがいな募集をやるべきではありません。それは姑息で卑怯と言わざるを得ない。どうせプライドを捨てるなら初任給60万とかして「国防でガッツリ稼ごう」とかデカい字で訴えるくらいのことをやらなきゃダメなんじゃないかなと思います。「国防」という大きな物語自衛隊が提示しないなら成長なんて小さく曖昧な物語ではなく、業務に見合ったお金を提示するべき。どの業界でもいえますが「成長」とか「やる気」なんていう単語を使って人材を集められていた時代なんてとうの昔。そこに気づかず『成長」を強調する人材募集ポスターを作るこの国はほんとうにセンスがないなぁと憂鬱な気分にさせてくれるのです。