サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

LOFT(ロフト)のバレンタイン広告に漂う「80年代」の異臭

こんにちは。

 本日のテーマは「バレンタイン」。っていっても学生の頃からまったくモテたこともなく、結婚して妻や娘もいる僕にとってはどうだっていいイベントなんですけど、ふとこの広告の話題をツイッターで目にしたので、これについて思うことを書きます。

 

 

 

LOFT(ロフト)のバレンタイン広告で大騒ぎ

今回、メディアで話題になったのはこの広告。

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表向き「仲の良さそうな女子」だけど

出典:Twitterのオピニオン

 

ロフトのバレンタイン広告「女の子って楽しい!」に反響が

 

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私たちの実際の関係はお互い敵!

出典:ねとらぼ

ロフトのバレンタイン広告「女の子って楽しい!」にTwitterユーザー困惑 「どういう意味?」「チョコを売る気はあるのか」 - ねとらぼ

 

 仲のいい5人の女子がキャッキャと映像ではしゃぎまくり「女の子って楽しい!!」みたいなメッセージを発した後、その背後を映してみたら「こんな陰湿な関係」。この広告に困惑した人たちはLOFTに対して不信感をツイッターなどで呟き、これを受けてLOFTも広告を削除してお詫びという騒ぎになりました。

 

以下のリンク先の記事より引用

headlines.yahoo.co.jp

 「女の子って楽しい」ではなく「女同士は陰湿」と言っているように見える。

(中略)

この広告に対し、Twitter上では困惑の声が相次いだ。

 動画が描いている女性像を「こういう女の子像って時代遅れでダサいしリアルじゃない」「『表では仲良さそうだけど裏ではギスギスしてるから女は陰湿』という考えが透けて見える」といったコメントのほか、「意味が分からない」「誰をターゲットにしたいのか分からない」という広告のコンセプト自体が理解できないといった意見が噴出。

 

 

LOFT(ロフト)のバレンタイン広告に漂う匂い

 ネットでも「女性軽視」「時代遅れ」など厳しい声で溢れておりましたが、僕がこの広告を最初に見て抱いた感情は「デジャブっぽい懐かしさ」と「こういうの昔もあったな。という食傷」でした。具体的に言うとおニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」「おっと!CHIKAN」などの曲が街に溢れていた80年代の空気。淡いパステルカラーの服が若い世代を中心に流行り、「常識や頭のお堅い人たちに舌を出してみた!」みたいな「子どもじみたいたずら心によって、物事を茶化して相対化することがカッコいいとされる文化」が流通していた頃の記憶です。

 

  懐かしさとはいっても僕自身はその空気をひどく嫌っていたので、このLOFTのバレンタイン広告にはイラっとさせられたけどね。引用するのも嫌なのでやらないけど、僕と同年代と思われる男性がブログで「80年代文化に育った僕みたいなおじさんには広告って『アーティスティックな表現』が許される場であり、今回のLOFTの広告への批判に陳腐さを感じる。『女の子はみんな可愛くて仲良し!』みたいな女性に押し付けられているファンタジーを壊すことを目的に作った広告なんだろう。」っていう意見を述べているのを見て「やっぱ俺たち80年代‘sは徹底的な勘違いをしているんだろうな」と、改めて強い危機感を抱きました。

 

複雑な現代で顰蹙を買う80年代の気楽さ

 おそらくこの男性ブログの言うとおり、今回の広告を企画したのは80年代のおふざけ文化に強く染まっており、そこから価値観や感性がアップデートされていないおっさん、おばさんたちなのでしょう。そして、それらはある一定層にとっては「悪気ないいたずら」としておもしろいもというのも事実です。そんな環境に頭を抱えたくなるけど、逆説的なことを言わせて貰えば、それって現実のめんどうくささに気づかずいられる環境で生きていられるという意味では幸せともいえます。

 

 自分やその周囲にいる人たちの「主体」とそれらを繋いでいる「友情」「愛情」などの感情、その感情により成り立っている「親子」「恋人」「友人」などの関係性。どれも一括りにできないほど複雑で、僕らはつねにそれらと通じて「自分」や周囲にいる「他者」に対峙して、考え続けなきゃいけない時代を生きていると思っています。だけどそれってすごくしんどい。疲労感もハンパありません。職場や家族、友人たちとの会話、ツイッターなどによる多くの意見などを読みながら「あーでもないこーでもない」と頭を働かせている時に80年代の空気を引きずった「表裏のある女の友情」みたいな、お気楽でステレオタイプな価値観をいたずら心で表現したらどうなるか?センシティブな人だったらそれに対して「ざけんなボケ!」と怒鳴るでしょう。

 

 今回の騒ぎは女性蔑視っていうよりもそんな多様な価値観の中で試行錯誤を続けている人たちが、能天気でお気楽な80年代的思考を引きずりヘラヘラしている幸せな人達の無神経さにため息をつき、イラ立ちをぶつけたのだろうと僕は思います。それは同時にこの80年代お気楽文化の終わりでもあり、自分もまた複雑な現代を生きるためにできるだけ多くのモノや人、考え方に触れて積極的に価値観のアップデートをしなきゃダメだよね。という想いを抱いた今日この頃。

 

追記:今回の騒ぎって、この価値観に基づいているんだよまさに。

 

arrow1953.hatenablog.com

 

 

 

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