サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

どうして自衛隊は隊員募集にキモい「萌えイラスト」を使うか分かった!

こんにちは。

 昨日に続いて今回のブログのテーマは何度も述べてきた「エロ絵と社会のあり方」。そこで、呟きのように書き続けてきた「物語の敗北」というフレーズを改めて考えているうちにこれって実はサブカルだけでなく、まさに今のこの国の国防が抱えている問題そのものを表した言葉でもあるんじゃないだろうか?という想いが湧きました。

 

 

そういやアニメ制作だった時代に監督から「AMは現在のアニメのエロ表現をどう思う?」と質問されたこともあり、そういう表現に頼らなきゃ作品が売れないんだとしたらはっきりいって表現の敗北と答えたこともありました。その時に監督は怒らずただ「そのお前の言い方にはムカつくけど、これ程適切な分析もない」と、ため息をついたのを、僕は今でも覚えています。

キモいオタクどもが表現の自由を「エロ」の言い訳に使う醜さ - サブカル 語る。

 

 

国防のリアリティ欠如を補う「萌え」

 以前、僕は自衛隊萌え要素のある女の子のイラストをポスターに使って自衛官募集をかけている現状について批判したことがあります。

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現在のアニメ表現はポルノではないけれどポルノ的要素を含む表現であることは否定できないというのが僕の考えです。それを「個人の趣味」レベルで消費することは批判されるのに行政みたいな「パブリック」が市民権を得るため広報で利用されているっていうことについてオタクはもう少し真面目に考えるべきです。 僕自身のいいたいことは「女の子のセミヌード表現や、萌え要素の強いキャラクターが全盛となっている現在のアニメ環境を『セクハラ』と思う人はいるだろうね。ただ、そのアニメ表現を犯罪の温床みたいに扱いながら町おこしや自衛隊の勧誘に使っているこの国の空気って何?」ということです。町おこしや自衛隊員勧誘に「萌え」を利用している一方で行政が「非実在青少年」表現を巡って条例を改正しようとしたりするこの二枚舌な現状について、アニメファンは本来「お前らどっちなんだ!」と怒るべきなのです。

自衛隊の募集も地域振興もキモいオタクの萌えに頼るな! - サブカル 語る。

  

 以下のニュースを読むと日本は少子化やその他の理由で自衛隊が人材不足に陥っており、おそらくその打開策で萌えイラストをポスターに使って若い世代からの支持を集めたいという思惑があるのでしょう。

 

jp.reuters.com

 

「国の勇ましさ、誇り」という物語の賞味期限

 従来とは異なり、街中でよく目につくようになった萌えイラストに高感度アップを頼っているという有様も非常に情けないとは思いますけれども、これは「国防」というもののオプションだった「カッコよさ」「勇ましさ」などの物語が効力を失っている。ということの現れだろうと僕は思っています。90年代後半に出版された小林よしのりの「戦争論」という漫画によってこの国ではかつての戦争を肯定するだけではなく、周辺国の危機をやたら煽って日本の勇ましさをどうにか取り戻したい。堂々と軍隊を持って国の誇りと自信を手にしたいという人たちの声が大きくなってきていました。そこから卒業できない人たちがいわゆるネトウヨというやつです。周辺国が日本を狙っている。だからこそ軍備増強を!憲法改正を!っていう物語の構造は単純化されていて実に分かりやすい。

 

 ただそれは多くの人にとって(ネトウヨ含め)はどこまでいっても単なる「物語」でしかなかった。要するに「国」をめぐる勇ましさの物語はバブル以降の低迷で自信を失った日本人にとって小腹を満たせる程度のものであり、殆どの人たちはそれを「リアリズム」としては受け取っていなかった。さらにその物語はすでに消費期限も切れており、それを貪っているのもネトウヨだけというだけのことです。だからこそ誰も自衛官募集に応じない。国の防衛についてうるさいネトウヨこそ真っ先に手をあげそうなものなのに、そんな自称保守な奴らさえ集まらない。奴らにとっても周辺国の危機なんて所詮、絵空事なんでしょう。

 

 こんな風に消費され尽くした「国防」と「国の誇り」「周辺国の危機に抗う勇ましさ」という物語は、どれだけ策を労してもリアリズムとして国民に伝わらなかった。つまり、敗北しています。その敗北を補うためにみっともなく足掻き続け、ポピュリズムを求めて萌えイラストにすがりつく様のなんと惨めなことか。

 

 

lite-ra.com

 

  憲法の改正は安倍総理のなんとしても達成したい願いとのこと。そんな賞味期限切れで敗北している物語は安倍とその周囲のネトウヨだけで食っていて貰えないかね?国民も、そろそろ愛想尽きるぞ。

 

 

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