サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

アツギの広告のイラストに見るエロゲー的価値観の蔓延はもはや笑えない

こんにちは。

 11月となって最近めっきり寒くなってきました。寒くなると普段薄着でいる僕も棚から幾つか服を取り出してアツギなんぞしたりもする今日、このごろ。知らなかったけれど先日11/2は「タイツの日」だったそうで、老舗のタイツメーカー「Atsugi(アツギ)」が女性のかわいらしいイラストを使って自社商品のプロモーションを行った結果、それが大騒ぎになったそうな。

 

 

アツギの広告のイラストに見えるエロゲー的価値観

nlab.itmedia.co.jp

 

以下、記事の引用より

 同社は「タイツの日(11月2日)」に合わせて、人気イラストレーター・漫画家ら25人以上とコラボ。クリエイターが次々に広告イラストを投稿し、アツギ公式Twitterハッシュタグ「#ラブタイツ」と共に、イラストをリツイートや引用リツイートしていきました。ところが一連のイラストが性的だとして批判を呼ぶことに。特に女子高生とメイドが恥じらいながらスカートをたくし上げる2点のイラストに批判が集中。この2点については、イラストレーター側が既に投稿を取り下げています。

 

さらに同社の公式ツイッターアカウントでは、そのイラストレーターの画集についてもリツイートで広く宣伝。

 

以前からこのブログでは若い女性の写真やその肉体をアニメっぽくデフォルメしているイラストなど全般を含めて「女性を衆目集めに使う社会構造」そのものについて批判をさせてもらっております。

 

arrow1953.hatenablog.com

 

 表現の程度や是非でなく、どうして女性の肉体が「人々の注目を集める題材」として扱われ続けているのかという疑問を構造的に考えてみただけの話なんだけど、やたらとこのブログ記事には「宇崎ちゃんのイラストはエロくない」「表現の自由の侵害」だの見当はずれなコメントなどが多く寄せられているのでここで引用はしません。だけど、この宇崎ちゃん騒動の頃と比べてみると事態はさらに深刻になったように僕には思えてならないのです。

 

広告イラストの「エロ」は誰のため?

 宇崎ちゃんの献血ポスターについては「オタク」な人にも献血に協力いただきたい。そのためにオタクの喜びそうなイラストを使った。といういちおうの大義名分があり、オタクもそれを全面的に出してこのイラストを叩くのはやめろ!!と擁護する人たちも少なからずおりました。つまり「オタク」という明確な訴求対象がいた。ということになります。では今回のアツギの広告のイラストはどうなのか?

 率直な感想だけどイラストについては可愛い!肉厚に描かれた体形や柔らかな表情は見る人の目を惹きつけます。こんな女の子たちが出てくるエロ系マンガやエロゲーが学生の頃にもしあったらたぶん買っています。太ももチラ見せやM字開脚なんて扇情的でたまりません。

 だけど、通常の感性だったら同時にこれらはやっぱり「エロ好きオタク文法」に沿ったものであり一般受けしないだろうなぁという知恵は働く。そしてそこから一般受けしないだろうエロは周囲をドン引きさせるだろうなぁという知恵を更に働かせる。そしてこれを一般企業が広告に使ったら「オタクどものキモい性癖を周囲にバラまくな」と思うでしょう。僕はなにかヘンなこといってる?

 

アツギの広告のイラストで女性に訴えた「モノ」

 何度も言うけど、僕はこういった二次元的なエロの愛好について否定していません。ただそれらのエロ表現にドン引きな人の声も考えろ、僕やお前ら「エロオタ」の好きなものはみんなの好きなものじゃないということは理解しておかなきゃいけない!というだけです。その「エロオタ好み」的で一般受けしないだろうイラストを広告に使ったということは、この会社は購買層を女性でなくオタクに絞ったということなのか?それともそんなことも分からないほど社会がエロゲー的価値観に染まったということなのか?僕には分からないのです。ちなみに以下はアツギがリツイートして広めたイラストレーターの作品。

 

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 企業の公式アカウントはその会社の「顔」、広告は会社や商品の「イメージそのもの」であるといっても過言ではありません。そんな場で企業商品を連想させるようなタイツを履いた女性がお尻を突き出したり、頬を赤らめて開脚している女の子、つまり性的に他者を欲情させているような振る舞いをしたりスカートを捲って中を見せる女性をユーザーにみせつけるということは「うちの商品を履いて相手の性欲を満たす存在になれ!相手の性欲の生贄になろう!」と呼び掛けたのも同然と購買層の女性に受け取られても文句はいえないのです。

 

 この規模の会社だったら社員には男女含めてエロゲー的な価値観を持つ人もそれなりにいるだろうけど、同時にそれは一般的なものでないことを理解できている人も多いはず。なのにどうして先述したロジックが機能していなかったのか僕には分かりません。

 

 アホなオタク(自称)共は騒ぎをフェミニストのせいにしたがるだろうけどね。

 


 

 

※エロ大好きオタクが「表現の自由云々」で騒ぐよりも、企業がそういったエロゲー的な価値観に毒されているっていうことの方が大きな問題だ。社会はマジでこの現状に危機感を強く持ったほうがいい。

 

今週のお題「急に寒いやん」