サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

安倍政権という「長い夏休み」を経たこの国

こんにちは。

 

 本日は9/1。従来なら都内在住の多くの小・中学生にとっては7月下旬からの夏休みが終わって二学期が始まる日です。といっても、今年は4月のコロナウイルスの流行に伴う自宅待機のため、各学校の夏休み期間もまちまちだったそうな。この日になると思い出すのは宿題を全くやらずにいたため前日の8/31まで泣きベソをかいていた自分。大人になった今でも、そんなトホホ・・・な体験から僕にとっての夏とは7/21~8/31の間を意味しています。

 

 さて本題。この間の8/28(金)に安倍晋三首相が記者会見で辞任を発表しました。この政権については有識者のお偉いさんが総括を行ってくれるでしょうが、僕ら多くの一般人にとって「安倍政権」って何だったのか?を考えてみると案外、適切な言葉が出てきません。自称保守やネトウヨにとっては「憲法改正」や「美しい日本」を唱える愛国者の代表であり、政権運営に異議を唱えるためデモにまで出かけた僕ら反安倍(笑)にとっては「モリ」「カケ」「サクラ」などの件で政治を私物化した権力者。ただあまり政治に関心のない人たちにとっては「アベノミクスで景気を良くした人(実際はそうではないけど)」或いは「国の危機にマスクを2枚だけしか配らないアベノマスクのケチ」。こんなところではないでしょうか?一人の人物を巡ってこんなにもイメージが異なる。それはたぶんだけど安倍首相とその周囲があまりにも多くの言葉やビジュアルを駆使し続けてきた結果なのだと思います。

 

 以前のブログ記事で、僕はリオデジャネイロオリンピックでのマリオのコスプレから安倍政権の本質を「サブカル」だと語りました。引用だけど長くてごめんね(笑)

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あくまでこれは私見ですが、戦後の日本に上記のようなメインカルチャーというものは存在していない。もっとキツいことをいわせてもらうと本来日本にあったメインカルチャーは、以前から消滅していたんじゃないかと考えています。僕のこの意見に「そんなことない!」といって日本の伝統とされているステレオタイプな文化や芸能を列挙する人もいることでしょう。「歌舞伎」「落語」「柔道」「相撲」「日本食」「剣道」「過去の日本を美化する日本史」など、他にもあるけどキリがないのでこの辺で。上述したこれらは日本人の生活や習慣とかつては密接でした。だけど今はどうでしょう? 

中略

 これらはみんな昔の日本人の生活と密接につながりを持ち、当たり前のものとして存在していましたが、現代の僕たちは見事にこれらとの接点を失っています。地域や学校などの催しでこの接点を復活させようという動きもあるけど、そういった働きかけがなかったら、たぶんこれらは跡形も残らないでしょう。この「日本人の生活習慣と密接に繋がっている文化」という点については「機動戦士ガンダム」でおなじみの富野由悠季監督が対談本「戦争と平和」で興味深い発言をしています。

 

"富野:たとえば今、時代劇を撮ろうとすると、まず役者の歩き方から直さなければなりません。現代人はもはや、体の中心軸を失った運動性しか持ち合わせていないのです。これは生やさしい問題ではありません。「腹が据わっている」という日本語がありましたがこれは単なるレトリックではなくて、日本人はそういうリアリティの中で暮らしていたはずなんです。しかしもはや、エキストラを訓練しても、本当に使えるような姿勢になるかどうか分かりません。" 出典:戦争と平和 富野由悠季徳間書店

サブカルチャーとは、サブカルとは何かをバカにもわかりやすく語る - サブカル 語る。

 

 

 映像を所狭しと走り回るアニメキャラ。国際舞台でお披露目された首相のコスプレ。 これらは「日本を国際的にPRできるものってこんなサブカル以外にないんだ。僕らの思考や生活の根幹にあるのは長いこの国の歴史や風習などに育まれた『文化』ではなく、瞬間的で継続性のない情報や記号などを寄せ集めて生み出した『サブカル』以外にこの国を表現できるものがない。緑と水に囲まれた豊か自然を持ちながら、そこに根ざした風習や文化から培われた思考。そういった生活を支える『根っこ』みたいなものを僕らは持ってないんだ」と、この国のリーダーが自ら露呈させたということに他なりません。根無し草な僕たちはこの配管工のおっさんゲームキャラにコスプレをした首相にただ、賞賛と拍手。演じる役者も観客も全部ニセモノで固めた予定調和、やらせみたいで苛立ちます。 安倍首相のコスプレは「マリオは世界的に人気あるから盛り上がっていい」とかそういう話ではありません。メディアなどが「日本スゴイ!」「日本の伝統的な文化って世界に自慢できるものだぞ!」と偉そうにほざいているくせしてその実態はTVゲームのキャラクターを通じて日本が伝統を喪失した国であるかを世界に向けて発信している。そういった行為のバカバカしさに多くの「オタク」たちが気づいていないという現状に、僕は頭を抱えたくなるのです。そういう意味でも自称「オタク」たちの知的レベルの低下も本当に笑えない。

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  日本にはもはや文化というのは「歴史」「伝統」という固定されたイメージ(観念)でしか残っておらず、サブカルが物事の中心になっているということのみっともなさを世界に露呈したこのおっさんをどうして「保守」が持て囃すかわからない僕はただイラつくだけでした。たぶん安倍首相も「美しい日本」とかもっともらしいことをいいながらもそれがなんなのかを分かっていない。だからこういう以下みたいなシンボリックな「日本」を頼ってみたり、お題目の「憲法改正」を唱え続けざるを得なかった。それを間抜けにも「自称保守」の人たちは何も考えず真に受けていただけだったのだろうと思います。

 

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 だけどこのように「与えられたイメージを真に受けていた」間抜けは自称保守やネトウヨだけでなく僕らもまた同じです。この国で低迷を続けていた景気を回復させたい!みんながそう願っていた時に「アベノミクス」「地球儀俯瞰外交」などという目新しげで頑張っているようなわかりやすいフレーズに、僕らはそれが何なのかも分からずただ飛びついた。そんでもって「国の景気は回復している」「国益のため他国との理解も進んでいる」というお偉いさんの喧伝をうさん臭く思いながら信じて、実際はどうなのかという認識から目を遠ざけた。

 

 そんなこんなで政権が続いてきたある日。「コロナウイルス」というリアルで深刻なピンチが到来。景気や国防みたいな曖昧な危機でなく、全国民の健康と身体に関わる現実的な危機を前にただ右往左往でロクな対策もできない安倍政権の醜態を見続けた結果、やっとこの政権ってどうなの?と多くの人が疑問や不満を口にし始めた。というところでしょうか。

 

 この国には安倍首相就任の前から是非は別ともかくとして、「憲法」「国防」などの国の形づくりに関わる問題や「景気」などの喫緊ともいえる課題は山積していました。それらを課題として取り上げて、その課題解決がうまくいっているようなイメージを振りまくことでこの安倍政権は長く続き、僕らも概ねそのイメージどおりだと思っていた。だけど蓋をあけてみりゃ何も変わっておらず、逆に多くの問題は積もりに積もりまくっている。それはまるで夏休みにできもしない無茶な計画を立てて全てうまくいく!と思い込みながらも結果的に手付かず。ただボロボロのスケジュール表を前にムダ使いしていただけの時間を思い呆然とする幼き夏の日です。

 

 自称保守にとっても、ノンポリな僕らにとっても夏休みはとっくに過ぎたのです。僕らは手付かずの宿題の山を見てどうするべきなのか??っていうところで今日も頑張ろう!

 

 

 

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 ※永遠の夏休み?あるかボケ!だけどブログを書いていて「安倍政権」ってやはりサブカルだったんだとつくづく思った。つくられた大量の空虚な情報の後に残ったものは未だ手付かずな大量の宿題だけ。という有り様にただ呆然だわな。