こんにちは
本日は久々のアニメ業界体験録。久々にこのテーマでブログを書こうかと思ったのはこの記事がきっかけでした。
マングローブとは直接お仕事をしたことはありませんが、小説や漫画などの原作つきではない「オリジナル」作品を作るだけの力はある準大手だったので人気のある会社でした。今回のニュースは僕も驚きでしたけど、どこかでアニメの制作会社である以上、倒産したっておかしくないと思うと複雑な心境です。20代で、ある会社の制作進行をやっていた頃にも制作会社の倒産っていうケースは幾つかありましたから。
日本のアニメーションを支えているのは優秀なクリエイターの才能などではありません。薄給ながらも将来は「プロデューサー」「アニメ監督」になりたいといったステップアップを夢見て激務に励んでいるスタッフたちの努力。これに尽きます。だけど、何度も言うとおりそのステップアップを実現できるのはせいぜい10人にひとりかふたり。残りの8割はその夢を果たせないために業界を去ったり、諦めながらも惰性で残り続けたり。ただ業界に残っても役職の無い制作進行では給料もせいぜい16~20万円。社保険完備の正社員(数は少ないけ)になれたら業界では恵まれた待遇。
こんな環境で誰が就職するか!
まぁ・・・僕は就職しちゃったんだけど。こんなひどい待遇が僕が制作だった以前の時代から
現在に至るまで続いているのはひとえに「業界の甘え」に他なりません。今まではどれだけ人が辞めてもそれを補うだけの人が入れ替わっていたから、会社も「人がやめたって平気さ!代わりはいくらでもいる」と強気でいる事もできました。だけど高齢化が進むと、そうもいっていられません。
今後は若者も減り、労働人口やアニメソフトの購買層も目減りしていくなかで、どのように若い人材、お得意様を確保するべきなのか。上記の記事をみているとアニメ業界もその辺についてはやっぱりわかっています。
①原画の単価を上げ、アニメーターを確保するためアニメの制作本数を減らす。
②DVDなどのソフトを売るモデルから脱却を図り、ネット配信など新たな販路に活路を求める。
③国内だけでなく海外へ積極的に売り込む
④効率化、社会常識を導入して労働力の確保に手を付ける
などなど。こんなことは誰でも思いつくことなので僕がわざわざ言う事でもありませんけど。今回の準大手アニメ制作会社の倒産が業界の発展を妨げる構造を浮き彫りにしているとかそんな事いう暇あったら、さっさと行動を起こせよと業界を抜けた者としては思うんだけど、長い間この構造について有効な対策を打てていない業界はたぶん、この先もなにもできないでしょう。困ったなといいながらどこか他人事でただ、それをぼーっとみているだけという本当に情けないビジョンが想像できます。
だったら、この業界は徹底的にぶっ壊れた方がいい。人材のリストラや会社を潰せとか乱暴な話じゃなくて経営コンサルタントみたいな外部の人間に入ってもらい、アニメ業界人にありがちな「俺達はクリエイター」とかいう勘違い意識を捨て企業は社会の公器というあたりまえの視点を持って会社や業界のスリム化を図るという意味で。
この構造問題について、アニメ業界が本気になって取り組むかどうか僕にも分かりません。ただ原画さんや動画さんに低報酬で仕事発注したり、社員を低賃金で長い時間働かせてどうにか回っている会社に明るい未来なんてあるとは僕には思えませんけどね。
アニメ業界にいた頃についてはだいたいこんな感じ
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※アニメ制作のスタッフが主人公ではなく、元アニメ制作が挫折後、多くの苦難を経て経営コンサルタントとなる。自分をいじめた会社が経営不振になり、主人公が復讐と経営の再建目的に大鉈をふるっていく!っていう業界小説があったら僕は買う。