サブカル 語る。

サブカルチャーなどについての雑談

ウルトラセブン50周年!みんな意外に知らないセブンの知識

こんにちは。

 7/8よりスタートしたウルトラマンの新作「ウルトラマンジード」。

m-78.jp

 

 メインライターを務めているのは売れっ子のミステリー作家「乙一」っていうだけで期待も大きくなるっていうもんですけど、現在までのエピソードを観た感想としてはただ、おもしろい。自分の出生の秘密を知らなかった少年「朝倉リク」が怪獣出現をきっかけに自らが悪のウルトラマン、「ベリアル」の息子だった事実に戸惑いながらも、人々の危機を放っておけない。そんな葛藤や苦悩をを抱えて戦う正統派主人公に好感をもっている今日、この頃です。前作のウルトラマンオーブより好きかもな。この7月8日はウルトラマンの故郷である「M78星雲」に絡めたのか単なる偶然か分からないところではありますけれども、本日のブログではこの新人ウルトラマンではなく、ウルトラシリーズでオールドファンからもっともアツい支持を受け、今年放映50周年の「ウルトラセブン」を語ろうかなと思います。ちなみにこのウルトラセブン50周年を記念して、こんな商品も発売されるそうな。

 

www.j-cast.com

 

 

 

 さてこのウルトラセブン。基本データは以下の通り。

f:id:arrow1953:20170707083324j:plain

身長 :40メートル
体重 :35000トン
得意技:頭部のブーメラン「アイスラッガー
     額のビームランプから打つ「エメリウム光線
             腕をL字に組んで放つ最強技「ワイドショット」
家族 :ウルトラマンタロウの従兄弟、ウルトラマンAの従兄弟(義理)

意外にみんな知らない「ウルトラセブン 

 数多いるウルトラ戦士の中でも3本の指に入るメジャーなキャラではあるけれど、どんなキャラっていうかその人物像については意外に広く知られてはいません。中にはビジュアルを覚えているものの名前が頭に出てこなくて、ついウルトラマンセブン」とかいって間違える不届きな輩もいます。なので最初に覚えていただきたいのはウルトラセブンの本名。 

①本名は「恒点(恒星)観測員340号」

  コレはウルトラ好きだったら知っていて当然な常識だけど、一般的には知られていません。名前どおり元々セブンは地球防衛が役目じゃなくて、太陽系の航路図作成に必要となる情報を得るために地球周辺を訪れて、その周辺の観測業務を行っていた「ヒーロー界の伊能忠敬とも呼べるキャラでした。そして地球に立ち寄っていた時、異星人が地球を狙っていることを知って放っておけなくなり、人類を守るために「ウルトラ警備隊」と共に戦うことを決意してくれた、極めてお人好しなヒーローなのです。ちなみにウルトラセブンは先述した「ウルトラ警備隊」7人目の隊員という意味を表しているコードネーム。更に補足だけど「ウルトラマン」という名も元々は初代ウルトラマンと融合したハヤタ隊員が名付けたものであり、正式名称ではありません。初代の活躍後にM78星雲でウルトラの父大隊長とする宇宙警備隊で、地球の防衛任務に就いた隊員に与えられるコードネームが「ウルトラマン」となったのです。

②最も多くパラレルワールドを生きるウルトラ戦士

   本編のウルトラセブンは宇宙人・怪獣との戦いで受け続けたダメージや疲労のため、最後の戦いに勝利した後に上司の指示に従ってM78星雲に帰っていくところでエンディング。以降はその後を継いで地球で戦うことになったウルトラマンジャック帰ってきたウルトラマン)、ウルトラマンAウルトラマンタロウなどの「ウルトラ兄弟」3人目の兄貴分として弟分たちの戦いをサポートする立場になりますが、コレと別の流れの時間軸にいるウルトラセブンも存在します。それを描いたのがセブンの30周年に作られた「平成ウルトラセブン」と呼ばれるビデオ作品。純粋なウルトラセブンの続編で、ウルトラ兄弟はまったく登場しません。
 

 物語の舞台は最後の戦いから30年後。地球をふたたび訪れたセブンが、戦いを通じて実は「地球の先住民族を滅ぼして地球を奪った侵略者こそが人間」だったと知り、苦悩を抱えるという非情に重くて暗い物語のため、未だに僕は手を伸ばしていません。


 

 

 上述のシリーズとは別にセブン40周年で作られた「ULTRASEVEN X」についても言及。こっちの物語の舞台は同じ地球でありながら、とある湖を境目に存在するもうひとつの地球。そこは高度な情報化によって人類が徹底管理されており、その世界を狙う異星人たちとの戦いを繰り広げるという設定で、セブンのSF的世界や物語の怪奇性、人間社会の風刺など本来の味わいを損なわず、新たなセブンを作りあげたっていう点で評価されてもいいと思うんだけど、今ひとつマイナーな扱いなのでぜひ、多くの人に知ってもらいたい良作。僕は好きだなこの作品。 

 

f:id:arrow1953:20170719010055j:plain

 

 ©円谷プロダクション

 

左がセブンXで、右がセブン。筋肉量が圧倒的にでかく大きいのが特徴です。

ポケモンの元ネタ

   ウルトラセブンの持っていたアイテム「カプセル怪獣」がポケモンことポケットモンスターのヒントになっているというのはそれなりに有名な話だけども「このカプセル怪獣って何?」ってのがおそらく多数なんじゃないでしょうか。
 

 このカプセル怪獣っていうのは諸々の事情でセブンに変身できない場合にダンが使う道具。以下の写真みたく、カプセルの中に怪獣がいて、必要に応じて呼び出されて、セブンの代わりに戦います。物語に出ていたのはこの三体。

f:id:arrow1953:20170804001123j:plain

f:id:arrow1953:20170804001658j:plain

 ©円谷プロダクション

   左からアギラ、中央はウィンダム、右にミクラス。セブンの代わりと言っても実力は劣っているためさほど役に立たない怪獣たちだったけど、その愛嬌あるデザインにファンも多い奴らです。

 

ポケットモンスター - Wikipedia

ポケモンの製作者、田尻智ウルトラセブンファンだったそうで。

 

④ウルトラ6兄弟で最も面倒見のいい兄貴

   M78星雲出身のウルトラマンたちを主人公とする作品で、最も客演が多いのはこのウルトラセブン。強敵に負けた兄弟の前に現れて強力なアイテムを授けたりするほか、同じくピンチに現れて共闘(返り討ちにあうこともある)したり、時にはウルトラマンタロウの誘いを受け、ウルトラ兄弟で集まり、バーベキューを楽しんだり、自ら人間「モロボシ・ダン」として地球防衛軍の隊長を務めたり、なんだかんだいって物語の主役を譲った後もよくみかける「地球びいき」なセブン。後輩の危機には「俺が助けに!」と率先して地球に来るのは常に面倒見のいい性格っていう事もあるんだろうけれど「役目が終わったら地球をブラブラして遊んで帰ろっかな?」みたいに地方への出張を楽しみにするサラリーマン的な発想もあるんではなかろうか?そういや、本編以外でも空想上の孤島「怪獣島」に住む怪獣たちの微笑ましい生活ぶりと戦いを描いたコミカルな番外編「ウルトラファイト」でも怪獣の喧嘩仲裁に苦慮する面倒見の良さを発揮していましたな。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ウルトラファイト スーパーアルティメットBOX [DVD] 新品
価格:107460円(税込、送料別) (2017/7/7時点)


 

⑤セブンに関わる人たちのサイドストーリーが豊富

   ここではウルトラセブンでなく、セブンに魅せられた人たちの物語を紹介。最初に紹介するのは、ウルトラセブンのDVDを見て、その世界にどっぷり浸かった女子高生「△□◯(みすまる)ナナナ」(みすまる=340号、ななな=主題歌の「セブン!セブン!セブン!」を表している)とその友人たちのセブンの知識を巡るコメディーの「セブンきゅ〜ぶ」。少女らはセブンの知識を極めるため部活サークル「セブン究部」を作り、世間に対して「ウルトラセブンマンセブンというなぁ!」と叫びながらディープな世界にどっぷり浸かっていくという作品。作中にはセブン本編で使われたセリフとその引用エピソード話数も多数紹介されているので、分かる人には分かるけど、わからない人にはまったく分からないマニアック作品。ちなみに本編で殆ど知られていないものの代名詞として「子門真人の歌っている海外版ウルトラセブンのテーマ曲」というネタもあったけど、俺はその曲を収録しているCDを持っている。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

セブン3セブンきゅ〜ぶ(1) [ 上月まんまる ]
価格:648円(税込、送料無料) (2017/7/7時点)


 


 お次は以前のブログ記事で紹介させてもらった「セブン」制作に携わる人たちの群像ドラマ「私が愛したウルトラセブン」。92年にNHKドラマ放映されました。


 

詳細は以下の記事。

 

arrow1953.hatenablog.com

  脚本:市川森一の傑作。ウルトラセブンのメイキングエピソードを交えたフィクションだけども、ベトナム戦争がイヤで兵士になることを拒み、国外脱出を図る若い米軍兵士にダンとアンヌ、ウルトラセブンの制作スタッフを絡めた重くスリリングな物語は、ウルトラセブン放映時の世相を反映させた見応えのある作品。NHKで再放送してもらいたい!

 

 

にほんブログ村 その他日記ブログ オタク日記へ
にほんブログ村

 

そもそも日本の「自衛隊」とは何か?を考える前に読みたいマンガを紹介

こんにちは

 森友と加計学園を皮切りに何かと常に騒がしい現、安倍政権。先日は「憲法改正」について、こういったニュースも報道されました。

www.j-cast.com


 

護憲?改憲

 僕自身は憲法をどう考えるかというと改正に反対、つまり護憲の立場にいますけどこの国の将来を考えたうえでこの国の人たちが憲法改正、護憲どちらを選ぶべきかについてを熟慮して意見を戦わせた結果、改正を選択するというのであったら仕方ないとも考えています。この改憲案で焦点になっているものはいうまでもなく憲法9条。現在の自衛隊のあり方などについても実に多くの意見があるため単純に答えなんて出せる筈がない。それこそ、この9条というテーマは現行憲法制定から70年を経ても未だ解釈を巡り議論が続けられている。そんな奥深いテーマをたった3年で改正!なんて軽々しくいうのは僕にいわせりゃ「護憲」「改憲」と立場は違えども誠実に意見を戦わせ続けてきたこの国の戦後史の冒涜以外の何物でもありません。

 さて本題。「護憲」「改憲」という立場で論じられる機会の多い憲法9条。この9条についてどう考えるべきなのか?そもそも自衛隊とはなにか?どうあるべきか?っていう問いについてユニークな意見を提示したマンガがかつてありました。

 

f:id:arrow1953:20170626000953j:plain

突撃め!第二少年工科学校

週刊少年ジャンプの「ろくでなしBLUES
週刊少年サンデーの「今日から俺は
週刊少年マガジンの「疾風伝説 特攻の拓

 このマンガは僕らの世代を熱狂させた、90年代少年漫画雑誌三大ヤンキー漫画作品のうち「特攻の拓」の作画を手がけた所十三先生が2000〜2001年に少年マガジンで連載された作品です。物語は中学の卒業後、架空の自衛隊養成学校に入った少年「国尾守(くにおまもる)」の成長を描いた「ヤンキー×ケンカ×自衛隊」=青春みたいな公式になっています。でもこの作品は前作「特攻の拓」に比べあまり注目もされていなかったためか、あっさり終了。だけどこの物語のエンディングで主人公の国尾が語った「自衛隊とは何なのか?」という問いかけについては現在こそ評価されるべきではないかと思っています。その国尾の主張をここで実際に読んでみましょう。

 

自衛隊という組織の矛盾、その意義

 

f:id:arrow1953:20170626002808j:plain

出典:突撃め!第二少年工科学校(所十三_講談社

 

  人の生命を守る自衛隊の精神と、平和憲法の理念は相反するものではない。そもそも人間の掲げる理想は現実的かそうでないかっていう程度の低いもんじゃない。

 

f:id:arrow1953:20170626003114j:plain

出典:突撃め!第二少年工科学校(所十三_講談社) 

 

 

 平和憲法の維持のためには自衛隊を放棄しなきゃいけないとか、戦争放棄の理念が現実的でないから理念を削除すりゃいいとかそんな単純な話なのか。東西対立の間に日本がいたことから、最低限の自衛力という名目で自衛隊は生まれて、現在も拡大を続けてきている。今や世界でも有数の戦力を持っていながら自衛隊憲法の建前から「軍隊」とは認められていない。

 

f:id:arrow1953:20170626003735j:plain

出典:突撃め!第二少年工科学校(所十三_講談社) 

 

 

 だけど、恒久平和の理想を捨てる必要なんかない。大事なのはこの国の人たちが武力放棄という崇高な理想を掲げながらも実現できない現実、この憲法にそぐわない武力を持っていることを歯痒く思いながら、自衛隊とはなにか?という疑問を抱き続けることじゃないか?

 

そしてあなたはどちらを選ぶ? 

 この作品のテーマをブログで文章にまとめてみました。 戦力放棄、恒久平和を語るものの現実問題で「防衛力」という言語のロジックを使って「武力」を手放せない。そんな矛盾を背負っている自衛隊。それについての是非をこの場では述べません。ただ、読者の皆さんに「この国の憲法について考えてみて下さい」っていう提案はさせてもらいたいと思っています。現実にそぐわないので憲法を変えるべきという声も一理あるし、逆にこの自衛隊や日本の抱えている矛盾を世界に堂々と発信して「平和とは何か」を訴える外交という手段もあるかもしれない。どちらにしても、こんなふうにあーだこーだと僕らはもう考えなきゃいけないのです。少なくても改憲したくて仕方ない政府の広報に踊らされる形で安易に答えを導くようなことは絶対にあってはならない。

 

 今後、この憲法や、自衛隊とはなにか??どうあるべきなのかについては僕らも何らかのかたちで意見を表明することなるだろうけどその際、あなたや僕はどんな答えを出すのでしょう。その意見表明についてはもはや待ったなし。どういった答えを出そうとも自由。だけどこの後に及んでも、この国の憲法について考えずにいることはもう許されないってことは自覚しておくべき。

 

補足:自衛隊は矛盾の存在であるべきか否か。少なくとも閣僚たちの好き勝手にできる存在ではないぞ。思い上がるな自民党!!

 

※所先生、作品の画像引用について快諾いただき、ありがとうございました。


 

 

 現在、日本には数多くの自衛隊漫画があるけど、こういう自衛隊と日本の根本を考えさせる漫画がほとんどないのは寂しい。日本の矛盾そのものである自衛隊のあり方を、僕も考え続ける。

自衛隊・自衛官を題材にしたマンガ探したら結構見つかった、13作品

国会前の「共謀罪反対!」デモを生で見てきた感想

共謀罪の成立と数の暴力  

  6/14。今日も得意先を周って企業LANのメンテナンスに勤しんだ後、報告書作成のため自社に戻った時。僕の携帯に与党が共謀罪を成立させるため強引な手を打ったとのニュースが入った。この共謀罪については与党、野党ともに成立と廃案をめぐって毎日激しく争っているが、ここでついに「数の暴力」という現政権の本性を見せたということになる。毎日出勤、帰宅の往復で更新されていく僕の平凡な日常がある町から、20数キロ先にある国会議事堂の前には法案に反対する人達が集って毎日、大声で反対と声を荒らげているという。そこで僕は僕の平凡の拠点からさほど距離が離れていない場所でいったい何が起きているか知りたくなり、山手線と地下鉄を乗り継ぎ国会議事堂前に行ってみた。

 

国会議事堂前に響く声

f:id:arrow1953:20170615001657j:plain

 国会議事堂前の駅を降りて総理官邸前の交差点に出る。道路は思いのほか静かで、車も人通りも少なかった。デモなんてやっていないじゃないか?と思いながら周囲を見回していると、どこか遠くから鳴り物と拡声器によって音割れしている女性の声が響いてきた。その声の聞こえる方向にあてもなく歩くと、人の集団らしきものが見えてきた。

f:id:arrow1953:20170615002805j:plain

 デモの主催者の発表によると現地に着いた20:30前後には5000人が集結。集合場所の国会正門前交差点を何度か往復して、その発表の人数は妥当だと認識した。人の出入りも激しくて正確な数字を出せないが少なくても3000人〜4000人は確実だ。集まっていた人もお年寄りだけでなく会社帰りのスーツで着ているサラリーマン、各大学の旗を掲げている学生など老若男女が入り交じっている。ただ、なんとなく女性が思っていたよりも多いような印象だ。

 

ツイッターで拾った案内

f:id:arrow1953:20170615002918j:plain 

大勢の抗議を浴びながら、無言を貫く議事堂

f:id:arrow1953:20170615004546j:plain

 

国会正門前交差点で叫び続ける参加者

f:id:arrow1953:20170615012319j:plain

 僕はその集団に入ったり、わざと離れて遠くから眺めては写真や動画を撮影。同時に拡声器から叫ばれている声に耳を傾けてみると、多くの声が溢れてきた。

「安倍辞めろ!」
「金田(大臣)辞めろ!」
「自民、感じ悪いよね!」
「民主主義ってなんだ?」 

 
その叫びは数に任せて横暴を振るう権力に向けた直接の怒りなのは間違いないけど、強さは感じない。デモ参加者の「辞めろ!」という叫びは確かに口調こそ荒っぽい。だけどそれは狂気に任せた暴力的な感情の発露というよりも、この国の権力が強引に持ち去ろうとする「なにか大事なもの」を逆側から引っ張って守ろうとする切実さ、悲壮さを感じさせた。誤解を恐れずにいうとこのデモの参加者のほとんどはおそらく、数に勝る権力の横暴を止められると思っていない。だがそれでも何かをせずにはいられないという切羽詰まったような空気が国会前を覆っていた。デモは権力だけでなく、自分たちの心の奥底にある「政治への諦め」に対する抵抗でもあったのだと思う。

 よく「自称保守」やネット右翼らはこのデモに参加するような人たちやそのデモの主張を「サヨク」「パヨク」などという単語などを交えながらそれらをクレイジーでヒステリックなものであるとあざ笑ったりしているのをネットで見かけるが、それらは事実なのだろうか?東京オリンピックに向けて、テロ行為から国民を守るための法案であると政府は語る。だが、この交差点に集まっている人たちはそんな話を誰も信じていない。寧ろ逆にデモの参加者は「国民の自由を政府から守ろう!」と叫び、正当な手続きを経ないで法案を議決する政府の今回の行為を「クーデター」であり、現政権こそが国民の自由を奪う敵なのだという。どちらの言い分が正しくて、どちらが誤っているのかはこの記事では述べない。だが、少なくても現在の政権は何度も意図的な誤り、いわゆる「ウソ」を僕ら国民につき続けている。あるものを「ない」といい、権力者にとって都合のよくない情報が記述されている行政文書を怪文書と言い続け、弁明が苦しくなると「全ては役人たちの勝手にやったこと」と、弱い者に責任をなすりつける。共謀罪をどう思うか以前に僕自身、政権の発言が信頼に足るものとは到底思えない。たとえ法案について政権の言い分の方が正しかったとしても、デモ側が政権側に向けた「あなたたちの話はとても信用できない!」という訴えはもっともだ。そして、この意見は今やデモの参加者や僕だけにとどまらない。


www.nhk.or.jp

 わざわざでかい声でいわないだけで「この人たちって実は嘘つきなんじゃないか?」と考えている人が増えてきている。そして都議選前の首相演説ではついに安倍とそのお友だちのメチャクチャな振る舞いに耐えかねた人たちが集まり、「安倍辞めろ」コールが周囲を取り囲んだという。

takenori.info

 この空気をまだ政権側は甘く考えているかもしれないが不支持の大きな理由になっているのが「首相の人柄が信頼できない」ことだというのは由々しき事態との危機感を持つべきだ。

 

民主主義ってなんだ? 

 話をデモに戻そう。多くの批判が拡声器を通じて国会議事堂にぶつけられてる中で、時折「民主主義ってなんだ?」という叫びが合間に挟まれているのが何度か聞こえてきた。その叫びは権力側に対しての詰問であり、参加者全員の自問自答でもあり、この場にいないサイレントマジョリティへの訴えにも思えた。「選挙で立候補者に投票して、はい終わり。それは本当に民主主義なんですか?今、数に任せた暴挙で国会が大変な事になっている。あなたはそれを放っておいていいのか?民主主義は誰もが吸っている空気みたいに当たり前にあるものじゃないことに皆さん、気づいて下さい!」
 

 デモを横で見ていた僕自身がそう言われたような気分だった。同時にこのデモは単なる共謀罪反対を訴えるだけでなく、この国のほとんどの人が呑気に信じている「民主主義」というのがどんなものなのかを僕に見せつけた。絶対的多数を得た者は自らの利益を守るため少数を徹底的に叩き、排除する。排除されるのが嫌だったら多数の支持を得て、力を手にして自分たち以外を敵と定めて叩く側に回ればいい。今回の件にしても、数多の閣僚の不祥事にしても、首相の名前を冠した小学校の設立を巡る問題にしても権力側の「悔しかったらお前らも多数をとってみろ!物事っていうのは道理じゃなく数の多さが全てだ!」と言わんばかりの横柄な政権側の態度が目に着く。そしてそんな態度を多くの人が問題にもせず「私の日常には関係ない」としてまともに目を向けない。これが僕たちの信じていた「民主主義」の行き着く先にあるものだったことに僕は少なからず唖然とさせられた。数の多い方が絶対的な権力を持ち、少数派はその横暴に耐えるか意見を曲げて寝返る以外に生きる道がない。そんなのは断じて民主主義ではない。だったら本当の民主主義って何だ?と問われても、現在の僕はその適切な答えを持っていない。そのことが情けない。

 

 このブログのタイトルは「サブカル 語る。」であり、サブカルチャーの雑学なやバカな話などを中心にダベリたくてはじめたものだ。だけど今日僕がこのブログで語りたかったのは「サブカル的な絵空事」ではない。「民主主義国家」の日本で起た平凡なある日の出来事。つまり現実だ。 それも遠くの国の出来事じゃなくて、僕やあなたのいる現実と陸続きになっている世界の現実なのだ。そのことだけは絶対に忘れたらいけない。

  

arrow1953.hatenablog.com

 共謀罪が採決された6/15のあるアンケート結果に大笑い。


そしてもうひとつ。共謀罪だけでなく憲法改正ももはや不可避のテーマになった。

 

arrow1953.hatenablog.com

 


 

※僕、あなたにとっての「民主主義」ってなんだろう?

印象操作を行うまでもなく、安倍首相の支持率はすごく高い(笑)

こんにちは

 森友学園グループの塚本幼稚園で行われた、園児の「安倍首相頑張れ!」というコールから始まる「安倍晋三記念小学校」設立疑惑は、いつの間にやら加計学園の経営する岡山理科大学獣医学部の新設をめぐる疑惑に舞台を移したような印象を抱かせます。

 

 

政治家としての実績より疑惑の方が多い首相 

 この疑惑を簡単にまとめると、愛媛県今治市獣医学部を作ろうっていう話に上記の大学ほか京都産業大学も立候補したのにも関わらず、その競合であっさり岡山理科大に決定。実を言うと安倍首相とこの加計学園グループの理事長は付き合いの長いお友達であり、そのため安倍首相の主導によって岡山理科大に決まったんじゃないか?という疑いが持たれていたんですが、その当時文部科学省事務次官を務めていたという前川さんが「そうだよ。岡山に決めろという、権力のプレッシャーがすごかったね、マジで。官房長官怪文書だ!といっているそのやりとりについて書かれているエビデンスはどうかって?それらの文書も本物。俺もその文書を見ているもん」とあっさり暴露。その途端に政府のお偉いさんらはとある新聞を使って「前川は女性をいかがわしいバーで買ってるぞ!」と吹聴するなどの個人攻撃を行っていました。そのくせ野党側の議員から「政府の話はあてにならないだけでなく、疑惑の調査をお願いしてもぜんぜんやらない」。だったら関係者まとめて呼んで証人喚問やろう!っていわれたらムキになって「自分を犯罪者みたいにいうな!それは印象操作だ!」とを国会で叫びまくることで、「忖度」とセットで今年の流行語大賞独占を狙ってるんじゃないの?とか思ったりもします。でなけりゃ新しい言葉を覚えたてで、使いたがっているかのどちらかだろうな。なにせ驚くほどボキャブラリに乏しいからこのおっさん。

 

この疑惑塗れな首相の支持率って、実際どうなの? 

 さて本題。各方面から安倍さんのお友達優遇を語る証拠、証言などが集まってきていますが、現在の内閣支持率ってどのくらいでしょう。最近、日本経済新聞社のサイト「日経vote」でこういったアンケートが行われてちょっとした話題になりました。

www.nikkei.com

(1)加計学園問題をめぐる政府の説明に納得できますか

できる :18.6%
できない:81.4%


(2)前川前文科次官の説明に納得できますか

できる :74.1%
できない:25.9%

(3)安倍内閣を支持しますか、しませんか

する :26.7%
しない:73.3%

 

 この結果をもって安倍政権の支持率ガタ落ち!と喜ぶ反安倍派がツイッターに溢れていました。だけど。僕自身、現在の政権を支持しないけど、この結果から単純に安倍政権支持率急落とはいえないと思っています。詳しくはホームページを見てもらえば分かるんだけどこのアンケート、対象人数も年齢別の結果の割合も男女別の結果の割合も書かれていない。最初の設問が加計学園疑惑に関心を持っている人向けなのでそりゃ反安倍の回答率も高くなるわなというだけの事。2,3週間前まで支持率6割だったのがそんないきなり落ちることなんてあんまり考えられません。ただ、急落とはいわないけど各メディアの行っている世論調査を見る限り支持率が減少の傾向にあるっていうことはいえると思います。

www.fnn-news.com

 そんなことをいっていたらあれよあれよという間にこんな具合。

www.huffingtonpost.jp

www.news24.jp

 

2018年の4月には森友と加計の疑惑が再度高まり、最低を更新

headlines.yahoo.co.jp 

いやに支持率が高い世論調査サイトについて

 だけど皆さん。あるサイトでは安倍内閣の支持率がめっちゃ高いの知ってますか?

日本アンケート協会インターネット事務局

日本アンケート協会っていうといかにも公益団体っぽいイメージだけど、その実態は単なる趣味の集まり。そこで「今日の内閣支持率」っていうアンケートを毎日行っています。アンケート設問は「内閣支持」「内閣不支持」だけというシンプル2択。

f:id:arrow1953:20170608012552p:plain

 およそ、過去一ヶ月の結果を見るとだいたい60%以上の高い数値で内閣支持となっていますが6/6は安倍首相が野党からの質問でボッコボコ状態だった集中審議日。この日は内閣支持率も5割以下になっていました。
 んでもって翌日の6/7のアンケート結果。

f:id:arrow1953:20170608012945p:plain

 誰がやっているんだか知らないけど、印象操作も度を過ぎると却って怪しいといういい見本。久々に笑いました。大変だな、自民のネットサポーターっていうのも。え?やってない。ごめん、僕も印象操作やっちゃったかな。

 

追記:国会前のデモをよそに、中間報告で論議をぶっとばして共謀罪を議決した6/15。この日、上記サイトではもっとも支持率上がるんだろうなとか思っていたら、案の定。

f:id:arrow1953:20170620001131p:plain

6/15の内閣支持率:82.5%

情報操作やるなら、お前らもっとうまくやれよといいたくなる。

  

 


 

 

 


  

ヘイトスピーチとは何か?という問題提起の記事と日本について

こんにちは。

 本日のブログのテーマは「ヘイトスピーチ」とは何か?という疑問とそれを巡るこの記事について。

 

 

 

mainichi.jp

 

f:id:arrow1953:20170603032548j:plain

 

ヘイトスピーチとは何かを語る「突撃隊長」

 このブログに長くお付き合いいただいている方は、僕がヘイトスピーチみたいな人権や人間の尊厳等を嘲笑い、踏みにじるような卑劣で野蛮な行為を許せじ!とひどく嫌っているのはもうご存知のことでしょう。そんな中で本日紹介されたこの記事。日常的にヘイトスピーチを垂れ流している輩の界隈で「突撃隊長」という異名を持つことから周囲に一目置かれていた人物のヘイト体験悔恨録なんだけど面白いだけでなく、現在の日本社会のカルト化という問題を考える上で重要な証言といっても過言じゃありません。

 

   記事の主人公である「突撃隊長」は38歳の男性会社員。不景気の煽りを受けて会社を転々とする20代の前半ごろに「中国のスパイが日本にいる」「長野オリンピックの応援で来た中国人に人民解放軍の関係者が紛れていた」などのネトウヨ的な言説を書き殴るブログに触れた事で自分は「マスコミが報じない真実を言っている」と考えるようになっていきます。
 

ヘイトスピーチ突撃隊長の安心感と疎外の恐怖

 そういった体験からヘイトへの下地を育てていった突撃隊長は、これまたネットで「反原発は左翼勢力と在日コリアンの勢力が結託して、日本の経済を破壊するために行っている」という荒唐無稽な書き込みを目にした事でそのデマを信じ、反原発へ不満を募らせて原発再稼働を訴えるデモに参加。ネットで広く公開されたデモの動画に寄せられた賛意のコメントから「自分の思いは支持されている」と強く思い込むようになり、在日外国人への敵意と自分なりの正義感を増幅させ、積極的にヘイトデモに加わることになっていきます。ところがヘイトデモを続けることで友人も増えていき、自分の場所を見つけた!という充実感を抱いていた反面、暴力的になっていくデモについて「やりすぎじゃないか?」という考えも芽生えているのも気づくように。だけどその自分の迷いを口にすると周囲から「裏切り者」扱いされる。ヘイトデモの現場は突撃隊長にとってもはや「楽しい居場所」などではなく「疎外の恐怖」を抱かせる場所になっていたのでした。その恐怖に抗うかのように、突撃隊長の行動も更に過激に変貌。暴力的な言葉態度を更に先鋭化させ、ナチスの象徴であるカギ十字の旗を掲げ、強者を演じる内に気づいたら周囲の尊敬を集める存在になっており、「団体における優越感」と「疎外の恐怖」の交じる空気の中で自分を見失っていった突撃隊長には自分とは相反する考えではありながら、どこか同情を抱いている自分もいます。
 

ヘイトスピーチの生む憎しみの連鎖から脱却

   そして突撃隊長はエスカレートさせたヘイトスピーチの果てに傷害罪で逮捕。それをきっかけにヘイトデモ団体との関係も疎遠になったことでヘイト仲間から「裏切り者」と酷く罵倒されるような立場になってしまいます。ところがそんな突撃隊長に声をかけた人物もいました。ヘイトへスピーチへのカウンター活動を続けている在日コリアンの男性は「もしも嫌がらせとかあったらいつでも相談に来てよ!」というメッセージを突撃隊長に送っていたのです。突撃隊長は「なんで自分が攻撃していた人が親切に接してくれるんだろう?」と戸惑いながら自らの行為を省み、あらためて調べると自分の信じていた「在日特権」など在日外国人を叩く材料に使っていた情報はヘイトを煽るためのデマだったことに気付き、自分の行為の過ちを認めてその男性のカウンター活動団体に面会して直接謝罪。カウンター団体は「(自分の)してきたことを忘れないで、幸せになりなさい」と声をかけたそうです。

 

   上記の記事をまとめている最中、鴻上尚史さんのエッセイ「ドン・キホーテのピアス」で紹介された、あるエピソードを思い出しました。そのエピソードはオウム真理教サリン事件を通じて読者に「批判精神」がどういうプロセスで鈍っていくかを自らの体験談を交えて語ったものです。

 

「批判の精神」を手放したらいけない 

 鴻上さんは学生の頃、友人があるカルトにハマったのを放っておけなくなり、友人のカルト脱会をサポートした経験があるそうです。鴻上さんいわく「人間には誰でも批判精神を持っているけれど、誰かに自分の価値観を受け入れてもらえた!という体験を味わった途端に脆くなる。自分と自分を受け入れたものの間にある「ズレ」に対して批判精神も最初は抗うけど、その葛藤に疲れ果てた時に人は「私をだましてよ」と自分を受け入れた人物や団体に「騙されること」を望むようになり、それらに依存度を深めて外と世界との拒絶を深めることになる。鴻上さんはその友人をカルトのコミュニティから引き剥がして、丁寧に「人生というものを丸ごと理解できる都合のいい答えなどない。それは自分で考えて生きていかなきゃいけないんだ」と説得を続け、結果的に友人は「人生に真理なんていうものなどなく、自分で考えて物事の答えを見つけるしかない」ことを受け入れてカルトを脱会。人生や物事の理を丸ごと理解できる解などない。その当たり前だけど残酷できびしい現実を認め、号泣する友人を目の当たりにして自らも涙をこぼしたそうな。

 

   このエピソードはエッセイ集「ドン・キホーテのピアス」で「20世紀の終わりの泣き声について」という題で掲載。この本の中で鴻上さんは「本当に悲しいけど、オウムみたいな団体は今後も現れ続けるだろう」と書いているけど、本日紹介したヘイトスピーチに染まって逮捕された突撃隊長の悔恨録を読む限り、この批判精神を巡る問題は現在の「日本社会のカルト化」という現象につながっているように思えてなりません。僕らは現在、21世紀を生きている筈なんだけど実際には20世紀はまだ続いており、さらに時計の針は権力の横暴によってさらに逆戻りして教育勅語を良しとする19世紀まで戻ろうとしている。その現実の前に、僕はこのブログを読んでくれたあなたにこう語りかけてみたく思います。

「皆さんの批判精神、お元気ですか?」と。

 

 

 

arrow1953.hatenablog.com

 

 

arrow1953.hatenablog.com

 

 

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

不安を楽しめ!/鴻上尚史【2500円以上送料無料】
価格:1620円(税込、送料別) (2017/6/3時点)


 

 

おっとchikan!の歌詞のひどさについてあらためて考えてみる

こんにちは。

 

 本日のテーマは「痴漢冤罪」。日本でも以前に「痴漢冤罪」をテーマにした「それでもボクはやってない」というタイトルの映画作品を周防正行監督が作ったことで大きな反響になったけど、この手の話題は現在でも尽きることがありません。

 

それでもボクはやってない - Wikipedia 

 

 

おっとCHIKAN!の歌詞はひどい!

 さて本題。本日のブログ記事のタイトルだけどマジで日本の80年代、そういう不謹慎な歌があったんです。この歌を歌っていたのはAKB48の先駆けといえるアイドルグループ「おニャン子クラブ」。

www.youtube.com

 

おっとCHIKAN!の歌詞を文章にするとその酷さが分かる 

 歌詞のおおまかな内容を紹介。満員電車でストレスをためた女子高生が同じ車両にガリ勉みたいな格好の男を見つけたので、そいつを使ってイタズラをしかけてイライラを発散。男の手を掴んで大声で「この人痴漢よ」と叫び、男が無実で周囲に囲まれているのを見て、気分はもう最高!この歌詞のひどさはもう犯罪モンだわ。

 

 僕も毎朝、満員電車で通勤。みんなも急いでいることぐらい理解できます。だけどどう考えたってこれ以上の人は乗れないだろ?というほど満員となった車両めがけつっこんでくる乗客たちにゃ腹立つ!確かにムカつく!

 

f:id:arrow1953:20150605234427j:plain

※朝の中央線って、こんな感じ。

出典:範馬刃牙板垣恵介_秋田書店

 

 

nikkan-spa.jp

 

 

 この記事によると満員電車の乗車率No,1は京浜東北線。とはいっても首都圏の電車混雑なんて大同小異だよね。

 

  車両が満員を越える満員でドアの窓ガラスがこんな感じなのに。そういう乗客らには力を込めた本気の正拳突きを、内側からえぐり込むように打つべし!という感じで顔に思いっきり食らわせてやりたいという衝動にかられます。

f:id:arrow1953:20171114005251j:plain

※ やらないよ当然!

 

 だけど、満員電車でストレス溜まっていても痴漢冤罪でストレス解消!ラッキー!はいくら歌の中のフィクションってていったってひどい。

 

常識や正論、倫理に舌を出すことがカッコよかった頃

 こんなふうに今ならネットなどでバッシングされまくりそうな歌が今で言うところの「まゆゆ」とか「さっしー」や「ゆきりん」が普通に歌っていて、みんなそれをさほど批判もせずに受け入れられていた時代があったんですよ。もちろん痴漢は犯罪であり、許される行為ではありません。こういう歌が普通に流通していたということは、当時は現在と比べて人権についての意識が希薄だったことの証左だけども、そんな時代をどこかで懐かしく思うる自分もいます。そんなことをいったら女性に怒られるだろうけど。

 

 もしもこの歌をAKB48やその他のアイドルが歌ったら多くの非難を受けるでしょう。だけど。確かにひどい曲なんだけども、この作詞に僕は作為的な「バカ」さを強く感じるのです。モラルに反していることを分かっているうえでうそぶきそれを楽しんでいるような「思考の上に成り立っているバカ」というべきか、表現が難しいけど。バカが何も考えずに馬鹿をやってその写真を流通させたことで、エライ騒ぎになっていく「バカッター」な話題をたまに見ますが、現在のそれと比べると80年代のバカって明らかに質が違う。この質の違いはなにかについてはいつかまた考えたく思っています。だけどこの歌、本当にヒドい。

 

追記:そんでもってこの価値観を思いっきり前面に押し出して叩かれたLOFT。

 

arrow1953.hatenablog.com

 

  


おニャン子クラブのメンバーを君は何人言えるかな?言えても偉くないけど(笑)  

フェイクニュースとは何か?について考えてみた。

こんにちは

 

 本日のテーマは「走れメロス」。文豪、太宰治の名作小説です。物語は皆さんも知ってのとおり、暴君に対して逆らったメロスが処刑される事になった際に、 「俺の処刑の日は、妹の結婚式があるので刑の執行をちょっとだけ待ってくんね?代わりに俺の親友を置いてくので、俺が戻らなかったらそいつを処刑ってことで。ぜってーに戻るから大丈夫!!」みたいなノリで親友のセリヌンティウスを人質に結婚式に出席した後、走って友の元に戻るまでを描く名作。だけども、この名作に異議を唱えた中学生が!! 

 

 

タラタラ歩くな!いい加減走れメロス

commonpost.info

  

nlab.itmedia.co.jp

 中学生の村田一真くんが昨年に一般財団法人 理数教育研究所開催の「算数・数学の自由研究」で「メロスの全力を検証」という論文を発表。その論文によると、メロスは走るどころか往路は単なる徒歩。復路も早歩き程度の速度ということでした。

 

 上記リンクによると、物語の中でメロスは妹の結婚式に出席するために3日間の猶予を王からもらって初日・最終日を使って10里の道を往復とありますが、この10里という距離単位をキロメートルで換算すると 10里 =(約39キロ)。原作を読むといかにも長距離というイメージを抱きそうですけど実際にはフルマラソンの距離よりも短かい!この論文で村田君はメロスの走った街の風景やその周囲の人々の描写から拠点ごとの到達時間を算出して平均的な移動速度を、時速4km以下と結論づけています。

※この詳細については、興味があったら上記をどうぞ。

 

 論文については「見事」という意見だけでなく、小説というフィクションによる感動を台無しにさせるものである。という意見もあったことでしょう。だけど思い込みによる思考の停止によりも物事に対する「批評精神」ともいうべきものをなかなか発揮できない頭の固いおじさんになった僕にはとても新鮮でした。

 

根拠のない思い込みほど怖いものはない

 1997年に、アメリカのアイダホ州である中学生が「ジハイドロジェン・モノキサイド」という化学物質の特徴を調べ、論文で大人達にこの物質の是非を問いかけました。さて、このジハイドロジェン・モノキサイド。日本語訳でいうと「一酸化ニ水素」。その物質の特徴(メリット・デメリット)については以下の とおりになります。

 

酸性雨を降らせる原因ともなる
②地形の侵食を引き起こす
③金属を錆びさせる
④ジャンクフードの添加物になる
⑤植物の育成を促進させる
⑥人体にも含まれている

 

 この化学物質は人類にとって有益かどうか?「一酸化ニ水素」という日本語表記がヒントではありますが、そもそもこの物質は何なのか?

答えはH2O=水。列挙した特徴を見ていくとそれは明らかです。

酸性雨を降らせる原因になる

そりゃ確かに、雨に酸が含まれれば酸性雨になりますわな。

②地形の侵食を引き起こす

雨が地面を柔らかくする事で、土砂崩れなどを引き起こすこともある。

③金属を錆びさせる

水は金属の表面を濡らして酸化させ、錆びさせる。

④ジャンクフードの添加物になる

ジャンクフード(だけでなく)殆どの食品に含まれる。

⑤植物の育成を促進させる

植物を育てるため不可欠。

⑥人体にも含まれている

言うまでもなく人体を構成する大きな要素である。

 

 上記の特徴は普通に考えて「当たり前」という話をもっともらしく書くことで大人の思考を混乱させるものでした。だけど、この実験で多くの大人たちはその「当たり前」に気づけなかった。この中学生が水を「ジハイドロジェン・モノキサイド」と名づけ、化学物質という形でそれっぽく周囲に説明して、否定的で感情的な性質を述べた結果

 

50人中で43人が否
6人が可否の回答を留保
この物質が単なる水である事を見抜けたのはたった1人だったのです。

 

e-zatugaku.com

 

 もっとも、この当時はインターネットなども現在ほど発達していなかったため、情報を判断する材料も乏しかっただっただろうという事も考えなくてはいけないでしょう。だけど、たとえ現在同じ実験を行ったとしても結果はさほど変わらないんじゃないか?とも思う。そんな事をこの話題から考えさせられました。

 

togetter.com

 

ネットにこそ真実や事実がある?冗談だろ! 

 ただ、これらはまだ笑い話や知的好奇心をくすぐる興味深い話題として扱える平和でのん気なニュースだからいい。だけどこの数年で、普通の人々がもっともらしいウソに踊らされたことで民族や人種差別を煽るような事件が多発しているのは全く笑えない。

 

 数日前にNHKクローズアップ現代で「フェイクニュース」を取り上げているのを見ました。フェイクニュースとは文字どおり「ウソ」の話題。実際と異なる情報がメディアやSNSなどを通じて大勢の人たちに発信し続けられていくことで、その情報が事実を凌駕してあたかも真実になりかわったようになる現象を説明する際に、よく使います。

www.newsweekjapan.jp

 

ネットの引き起こした差別騒動 

 番組の中ではドイツの地方新聞で記者を務めているペーター・バンダーマンさんの体験が紹介されました。ペーターさんの地元では大晦日、広場で新年を祝おうと1000人もの人が集って爆竹を鳴らしたり大騒ぎしていました。だけどもその火でボヤ騒ぎが発生。集まり自体が毎年恒例のものであり、ボヤも10分前後で収まったため、大騒ぎになるものでもなかった。ところがそのボヤの騒ぎを伝えたペーターさんの文章と動画がオーストリアのニュースサイトではまるで「アラブの人が放火騒ぎを起こした」みたいな話にされて拡散されたというのです。

 

現実を凌駕する、ネットに漂うウソ  

 最初、ペーターさんはよくある移民排斥の扇情記事には困ったものと思って呆れていました。ところが、その書き換えられた報道は本人さえ思わぬ事態に。数日後にはイギリスで「1000人もの暴徒が警察を襲撃。放火騒ぎも発生」などといったタイトルになってさらに文章は拡散。イスラム系の移民がテロの組織に関わっていると思わせるでたらめなものになり、ペーターさんの文章はイスラム系の人々への差別を煽り立てるものとして30ヶ国近く、5万人の人々に読まれることとなりました。そして、ペーターさんはこの事態を看過できないものとして、文章の発信者としての責任を果たすべく、記事が捏造されたものであることを反論。正確な情報を伝えれば誤解も解けると思っていたけど、この反論にあった反応はたった500件。誤って伝わった情報の読者、5万件の1/100程度に届くのが精一杯でした。ペーターさんはツイッターでこう呟きました。

「事実がウソに塗り替えられてしまう。どうすればいいのか、誰か教えて下さい。」

 

www.nhk.or.jp

 

  この話は日本でも他人ごとではありません。先日も「韓国」を題材にしたあるニュースサイトがヒドいデマを垂れ流しているものであると判明。

www.buzzfeed.com

 そのニュースサイトの運営者はたいして悪びれずに「ヘイト記事は拡散する」「そういった(韓国が憎い)という情報を望んでいる人もいる」と他人ごとみたく語っているので僕もかなり頭にきていたんだけど、このデマを広げたのは僕らの世代にも大勢いることでしょう。だけど僕らの世代はある事件をきっかけにして根拠のない情報を広げることの恐ろしさをあらためて学ぶことができます。

 

ネットの無い時代に駆け巡った、高橋名人逮捕のウソ

 その事件とは高橋名人の逮捕」。1980年代にゲームメーカーの(旧)ハドソンがプロデュースした「1秒間16連射」が特技のファミコンマスター高橋名人小学館の「コロコロコミック」などをつうじて小学生の心をガッチリ掴み、アニメ化や歌手活動、テレビ東京で「高橋名人のおもしろランド」という冠番組を持つまでに至ったその人気は、ある情報をきっかけに地に落ちます。その情報とは「1秒間16連射ファミコンのコントローラーの連射ボタンにバネを仕込んでいたからできるインチキであって、そのインチキがバレて、警察に逮捕された」とかいう荒唐無稽なものでした。

 

 ところがこの情報がインターネットもない時代だったのにも関わらず、全国の子どもたちに驚くべき早さで広がったのです。もちろん、この情報は真っ赤なウソ。この情報の真相は東京都内の警察署で一日警察署長を務めるために、警察署へ足を運んだ高橋名人を偶然見た人達を起点にした噂が別の話になって広がったというものみたいでした。噂が出た翌月のコロコロコミックでは高橋名人本人もその話に触れており、高橋名人を主人公とする漫画のネタにもなっていましたね。そういや。


   当時の僕はご多分にもれず高橋名人に憧れる小学生の一人ではあったけど、その話は「ヘンだな」と思っていました。名人逮捕の噂が広がった週にも高橋名人が司会の番組は普通通り放映されていたし、なにより新聞やどのテレビもその話題をまったく報道していない。たかがファミコン名人であってもこれだけメディアに露出している人物だったら絶対報道されるはずだという確信からこの話は嘘っぽいと考え、その話題には積極的に乗らなかったのです。また、同時にうわさ話をする同級生達の表情にもなんとなくひっかかるものがありました。

 

 同級生は「俺達をダマした」と怒っているのに高橋名人逮捕の話題をどこか楽しそうに語っているように思えて仕方なかったのです。子どものアイドルが警察に逮捕される。ふつうに考えるとそれは悲しい話にも思えますけれど勢いの盛んな人気者がいきなりの苦境に立たされる姿に自分がまるで強者になったような快感を覚える、後ろ暗い心理もあったんじゃないのか。だから正直なところ、みんなは16連射が事実なのか否か実際はどうでもよく、自分たちが堂々と貶めることのできる標的づくりのため高橋名人を都合よく利用しただけだったのでしょう。

 

ウソっぽい情報なのかどうかを見分けるポイント   

 結局のところ、何が事実で何が誤りかは流れてきた情報だけでは簡単に判断できません。ただ、「ウソっぽい情報」に気をつけるためのポイントはある。それはその情報の発信者の表情と口調です。発信者の表情や口調、文体が他人を貶める下卑たものになってはいないか。その口から発する情報は口汚くないか。

 

 フェイクなニュースは人々に事実を伝えることより情報を広める事、興味を引く事、そして他人を貶めて愉悦に浸ろうとする事が目的になっているためか、語り口や文章が扇情的で挑発的、さらに攻撃的で実直には程遠い下品さに溢れています。だからなんでこんな番組を信じる人がいるのか僕にはまったく理解できなくて困惑させられます。

 

www.dhctheater.com

 

  あなたに「ねぇ知ってる?」と語りかけてくる情報がどこか扇情的、攻撃的で特定の団体や個人を中傷する類のものだったら要注意!!そしてそれらを見たり聞いたりして、心地よさや愉快さを感じていたら、あなたはフェイクニュース発信の片棒を担ぐ手前にいるのかも知れません。